味噌おでんの思い出
世の中にはいろいろな食べ物がある。そのうちのひとつがおでん。一度作ると、3日は食べる羽目に陥る。がちょ様曰く、「おでん地獄」に落ちるのである。
味噌味のおでんがあると言う話があった。こんにゃくに味噌をつけて食べる味噌おでんとは別物らしい。
「どんなんだろ~。やっぱ、名古屋かな~」
その謎を、最近また来てくれるようになったmamatamさんが、解いてくれた。本当に味噌味のおでんなのだ。中には、普通に練り物や、厚揚げを入れる。そしていつもなら鶏の手羽先や牛すじを入れるところを、mamatamさんは、豚モツを入れていた。
mamatamさんが作った味噌おでん
そして思い出した!
「あ~!これって、小学校の近くで売っていた味噌おでんじゃん!」
小学校の近くに、子供相手に焼き鳥や、この味噌おでんを売っている店があった。焼き鳥はもちろん、味噌おでんも、串に刺してひと串10円で売っていた。この店は同級生のオノ君のお父さんがやっていた。
たまに大人が買っていて、
「こんなに安いんじゃ商売にならないだろう。もっと値上げしてもいいんじゃないの?」
など、余計なことを言っていた。オノ君のお父さんは、
「いや~、子供相手の店だからね、値上げはできませんよ」
など、うれしいことを言ってくれた。
焼き鳥は子供向けにか、甘くトロっとしたたれをくぐらせている。他の店のは、甘さが足りなくておいしくないと思った。
味噌おでんは、ちくわぶのような大物は一つ、小物はいくつか一緒に串にさしてあった。くうみんは、大好きなちくわぶを選んで食べた。ちくわぶにモツ風味の味噌が絡んでいる。それだけでも十分おいしいのだが、ちくわぶの穴に、モツが一つ入っていた。偶然入ったらしい。子供心にすごく得をした気持ちになった。
くうみんはこの店の味が大好きだったのだが、妹はもっと好きだったらしい。毎日のように行っていたのではないか?しかし、妹はお腹が弱くて、父から買い食いはやめるように、と言われてしまった。
なので、くうみんも、この店にはあまり行かなくなった。
買い食い厳禁。そう言われて馬鹿正直に約束を守るのはくうみんだが、妹はそうではなかったようだ。
「バレなきゃ、何もしないのと同じ」
そりゃ、現場を見られなければ、わからんよ。人間には…
その頃、黒い迷い犬を飼い始めた。妹が見つけて、「飼いたい、ねえ飼いたいよ」と、父にねだって飼い始めた。この犬が、恩義ある妹を裏切ることとなる。
犬の嗅覚は鋭い。
コロと名付けたこの犬が、妹の服、特にセーターの前のあたりのにおいをかぎ始めた。
クンクン、クンクン…
身を乗り出して、目を見開き、鼻を鳴らして狂ったように、においをかいでいる。
「お前、買い食いしただろう?!」
父は妹に詰め寄った。
「してない!買い食いなんてしてない!」
「だったらなんでこんなにコロがにおいをかぐんだ!!」
状況証拠に過ぎなかったが、これではシラを切り通せるものではない。
「食べた…」
妹は白状したのだった。
小学校の近くだったので、中学に行くようになると、
自然と足が遠のいた。その店のことも、今の今まで忘れていた。「味噌おでん」も、いつの間にかあの店のものではなく、こんにゃくに味噌をつけたものを思い浮かべるようになった。
そうか、ひょっとしてあの味噌おでんはオノ君の家で食べるおでんだったのかもしれない。オノ君はどこの出身だったんだろうか?
今となっては、同級生のオノ君よりも、優しい笑顔のオノ君のお父さんが懐かしい。
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味噌味のおでんがあると言う話があった。こんにゃくに味噌をつけて食べる味噌おでんとは別物らしい。
「どんなんだろ~。やっぱ、名古屋かな~」
その謎を、最近また来てくれるようになったmamatamさんが、解いてくれた。本当に味噌味のおでんなのだ。中には、普通に練り物や、厚揚げを入れる。そしていつもなら鶏の手羽先や牛すじを入れるところを、mamatamさんは、豚モツを入れていた。
mamatamさんが作った味噌おでん
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「あ~!これって、小学校の近くで売っていた味噌おでんじゃん!」
小学校の近くに、子供相手に焼き鳥や、この味噌おでんを売っている店があった。焼き鳥はもちろん、味噌おでんも、串に刺してひと串10円で売っていた。この店は同級生のオノ君のお父さんがやっていた。
たまに大人が買っていて、
「こんなに安いんじゃ商売にならないだろう。もっと値上げしてもいいんじゃないの?」
など、余計なことを言っていた。オノ君のお父さんは、
「いや~、子供相手の店だからね、値上げはできませんよ」
など、うれしいことを言ってくれた。
焼き鳥は子供向けにか、甘くトロっとしたたれをくぐらせている。他の店のは、甘さが足りなくておいしくないと思った。
味噌おでんは、ちくわぶのような大物は一つ、小物はいくつか一緒に串にさしてあった。くうみんは、大好きなちくわぶを選んで食べた。ちくわぶにモツ風味の味噌が絡んでいる。それだけでも十分おいしいのだが、ちくわぶの穴に、モツが一つ入っていた。偶然入ったらしい。子供心にすごく得をした気持ちになった。
くうみんはこの店の味が大好きだったのだが、妹はもっと好きだったらしい。毎日のように行っていたのではないか?しかし、妹はお腹が弱くて、父から買い食いはやめるように、と言われてしまった。
なので、くうみんも、この店にはあまり行かなくなった。
買い食い厳禁。そう言われて馬鹿正直に約束を守るのはくうみんだが、妹はそうではなかったようだ。
「バレなきゃ、何もしないのと同じ」
そりゃ、現場を見られなければ、わからんよ。人間には…
その頃、黒い迷い犬を飼い始めた。妹が見つけて、「飼いたい、ねえ飼いたいよ」と、父にねだって飼い始めた。この犬が、恩義ある妹を裏切ることとなる。
犬の嗅覚は鋭い。
コロと名付けたこの犬が、妹の服、特にセーターの前のあたりのにおいをかぎ始めた。
クンクン、クンクン…
身を乗り出して、目を見開き、鼻を鳴らして狂ったように、においをかいでいる。
「お前、買い食いしただろう?!」
父は妹に詰め寄った。
「してない!買い食いなんてしてない!」
「だったらなんでこんなにコロがにおいをかぐんだ!!」
状況証拠に過ぎなかったが、これではシラを切り通せるものではない。
「食べた…」
妹は白状したのだった。
小学校の近くだったので、中学に行くようになると、
自然と足が遠のいた。その店のことも、今の今まで忘れていた。「味噌おでん」も、いつの間にかあの店のものではなく、こんにゃくに味噌をつけたものを思い浮かべるようになった。
そうか、ひょっとしてあの味噌おでんはオノ君の家で食べるおでんだったのかもしれない。オノ君はどこの出身だったんだろうか?
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