下山 そして祖母谷温泉(ばばだにおんせん)へ
昨夜6時半に床に就いたくうみんは5時半ごろ目を覚ました。周りを見ると寝ている人は誰もいない。そんなに慌てることもないが、一人だけとなると焦る。急いで着替えて荷物の整理を始めた。
濡れたタオルや汗じみたシャツは乾燥室で干してあったが、湿気が多いのか濡れたタオルは完ぺきには乾いていなかった。汗ふきに必要なのでギリギリまで干しておくことにする。
6時から朝食。ご飯をよそってもらうが、くうみんの分のおかずがない。急いで作ってもらったが、何をやっておるんかい。

オムレツは手作り
昨日お世話になった大阪夫妻は、くうみんよりだいぶ先に出発した。
「どうもお世話になりました」
「またどこかでお会いしましょう」
旅先での再会はあやふやなものだ。

くうみんは7時を少し過ぎた頃に阿曽原温泉小屋を出た。もちろんしんがりだ。今日はふもとの温泉に泊まることになっている。あまり早く着いても仕方ないと思ったからだ。
山小屋を出るとすぐに急な坂を上ることになる。例によって尾てい骨が痛い。痛い尾てい骨をぶら下げたくうみんはとりあえずの目的地、欅平を目指した。

こんなん降りて来ました
欅平に着いたら、ビールを飲もう。一息ついてから祖母谷温泉に行けばいい。そんなことを思いながら、歩いているうち、くうみんは尿意とは別の自然現象をおぼえた。
「うっ!これは!」
今朝トイレでしっかり出してきたのだけれど、歩いているうちに何となく出たくなるのはよくあること。
どうしよう?まさか。野○ソ?
そういえば今読んでいる「山伏ノート」という山伏の書いた本には、野○ソの作法が書いてあった。まず浅く穴を掘ってそこに排泄し、使った紙は焼いてから埋める…
でも、ここは、できるようなところないし。穴を掘るにもシャベルがないし。
そう思いつつ歩いていると、横に業務用の道が伸びていたり、工事用のスコップが置いてあったりした。思わず野○ソの誘惑にかられる。

誘惑の業務用の道。こんな山の中にも新幹線を支える何かがあるらしい
いや、いかん!これは幻のベ○意だ。本当にしたい訳ではない。そう自分に言い聞かせると、なるほどそのような感じが治まって行った。このまま出なくなるのも怖い気がしたが、とりあえず今はこれでよかろう。
くうみんは一人、山道を登ったり下りたりした。そのうちに水平な道がずっと続くようになった。水平歩道に出たのだ。道は細いけど、平らな道はありがたい。尾てい骨に響かないし。
途中、年配のグループを追い越した他は、誰にも会わなかった。つづら折れになった道のずっと向こうに先に出たグループが見えた。

水平歩道を行く。道の向こうに人が見える。後になってこれは「大阪のおっちゃん達」と判明


もうすぐ問題の志合谷のトンネル

志合谷のトンネル。中は真っ暗なのでヘッドライトを着用。足元には水が流れている。150メートルと言うが、もっとあるように感じた。一人で心細かった
欅平に近づいたのか、時折、駅のアナウンスが聞こえてくるようになった。道も下り坂になって行った。だいぶ下っていくと、下の廊下で見かけたおっちゃん二人組に追いついた。
「きついですね」
なんとなく話しかけた。
「よく、一人で来るね。いつも一人なんですか?」
大阪弁で、一人はぎょろ目で背が高く、一人はのんびりした雰囲気の小柄なおっちゃんだ。
「いえ、一人は初めてです。今までは主人と来ていましたが、亡くなりましたので。今さら他の人とは行けないです」
「そうですか」
聞かれれば答える。
「いいわねえ、一人で」
と言われれば、
「はあ」
と笑って、何も言わない。
おっちゃんたちは写真を撮っていたので、そのまま一人で下に向かう。もうすぐだ、もうすぐビールと…

欅平の駅周辺の建物がすぐ近くに見える!!

やった~~!!着いたぞ!!
やっと駅に着いた!!駅前には少し前に出発した若い人たちのグループがいた。この人たちも追い越せなかったなんて…年かなあ。
しかし、くうみんには一番にすべきことがあった。荷物をベンチに置くと、さりげなくトイレに直行した。幸い空いていた。
さわやかな顔でトイレから出てきたくうみんは、ビールを飲もうと思ったが、外は寒いので、駅舎のストーブの前に陣取って、ビールを飲んだ。ああ、やれやれだ。
でも、次の目的地、祖母谷温泉は、ここから歩いて50分ほどの所だという。本当はもっと歩いてすぐに行ける温泉が良かったのだが、どこも満員、もしくは一人宿泊は受けない所だった。

歩いて50分…どうしようと思ったが、検索してみると、なかなか良い温泉だということだったので行く気になった。阿曽原温泉小屋でも、
「祖母谷温泉はいいぞ」
と、噂に登っていたので、それは行かなきゃ、と思った。しかし、皆さんここら辺の温泉はいいと言いつつ、すぐに帰ってしまうようだ。忙しいのかな。
ビールを飲んで、一服したくうみんは、今宵の宿に向かって出発した。

さて、どんなお宿だろう?
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濡れたタオルや汗じみたシャツは乾燥室で干してあったが、湿気が多いのか濡れたタオルは完ぺきには乾いていなかった。汗ふきに必要なのでギリギリまで干しておくことにする。
6時から朝食。ご飯をよそってもらうが、くうみんの分のおかずがない。急いで作ってもらったが、何をやっておるんかい。

オムレツは手作り
昨日お世話になった大阪夫妻は、くうみんよりだいぶ先に出発した。
「どうもお世話になりました」
「またどこかでお会いしましょう」
旅先での再会はあやふやなものだ。

くうみんは7時を少し過ぎた頃に阿曽原温泉小屋を出た。もちろんしんがりだ。今日はふもとの温泉に泊まることになっている。あまり早く着いても仕方ないと思ったからだ。
山小屋を出るとすぐに急な坂を上ることになる。例によって尾てい骨が痛い。痛い尾てい骨をぶら下げたくうみんはとりあえずの目的地、欅平を目指した。

こんなん降りて来ました
欅平に着いたら、ビールを飲もう。一息ついてから祖母谷温泉に行けばいい。そんなことを思いながら、歩いているうち、くうみんは尿意とは別の自然現象をおぼえた。
「うっ!これは!」
今朝トイレでしっかり出してきたのだけれど、歩いているうちに何となく出たくなるのはよくあること。
どうしよう?まさか。野○ソ?
そういえば今読んでいる「山伏ノート」という山伏の書いた本には、野○ソの作法が書いてあった。まず浅く穴を掘ってそこに排泄し、使った紙は焼いてから埋める…
でも、ここは、できるようなところないし。穴を掘るにもシャベルがないし。
そう思いつつ歩いていると、横に業務用の道が伸びていたり、工事用のスコップが置いてあったりした。思わず野○ソの誘惑にかられる。

誘惑の業務用の道。こんな山の中にも新幹線を支える何かがあるらしい
いや、いかん!これは幻のベ○意だ。本当にしたい訳ではない。そう自分に言い聞かせると、なるほどそのような感じが治まって行った。このまま出なくなるのも怖い気がしたが、とりあえず今はこれでよかろう。
くうみんは一人、山道を登ったり下りたりした。そのうちに水平な道がずっと続くようになった。水平歩道に出たのだ。道は細いけど、平らな道はありがたい。尾てい骨に響かないし。
途中、年配のグループを追い越した他は、誰にも会わなかった。つづら折れになった道のずっと向こうに先に出たグループが見えた。

水平歩道を行く。道の向こうに人が見える。後になってこれは「大阪のおっちゃん達」と判明


もうすぐ問題の志合谷のトンネル

志合谷のトンネル。中は真っ暗なのでヘッドライトを着用。足元には水が流れている。150メートルと言うが、もっとあるように感じた。一人で心細かった
欅平に近づいたのか、時折、駅のアナウンスが聞こえてくるようになった。道も下り坂になって行った。だいぶ下っていくと、下の廊下で見かけたおっちゃん二人組に追いついた。
「きついですね」
なんとなく話しかけた。
「よく、一人で来るね。いつも一人なんですか?」
大阪弁で、一人はぎょろ目で背が高く、一人はのんびりした雰囲気の小柄なおっちゃんだ。
「いえ、一人は初めてです。今までは主人と来ていましたが、亡くなりましたので。今さら他の人とは行けないです」
「そうですか」
聞かれれば答える。
「いいわねえ、一人で」
と言われれば、
「はあ」
と笑って、何も言わない。
おっちゃんたちは写真を撮っていたので、そのまま一人で下に向かう。もうすぐだ、もうすぐビールと…

欅平の駅周辺の建物がすぐ近くに見える!!

やった~~!!着いたぞ!!
やっと駅に着いた!!駅前には少し前に出発した若い人たちのグループがいた。この人たちも追い越せなかったなんて…年かなあ。
しかし、くうみんには一番にすべきことがあった。荷物をベンチに置くと、さりげなくトイレに直行した。幸い空いていた。
さわやかな顔でトイレから出てきたくうみんは、ビールを飲もうと思ったが、外は寒いので、駅舎のストーブの前に陣取って、ビールを飲んだ。ああ、やれやれだ。
でも、次の目的地、祖母谷温泉は、ここから歩いて50分ほどの所だという。本当はもっと歩いてすぐに行ける温泉が良かったのだが、どこも満員、もしくは一人宿泊は受けない所だった。

歩いて50分…どうしようと思ったが、検索してみると、なかなか良い温泉だということだったので行く気になった。阿曽原温泉小屋でも、
「祖母谷温泉はいいぞ」
と、噂に登っていたので、それは行かなきゃ、と思った。しかし、皆さんここら辺の温泉はいいと言いつつ、すぐに帰ってしまうようだ。忙しいのかな。
ビールを飲んで、一服したくうみんは、今宵の宿に向かって出発した。

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