ギャ~~!!ハチだ!…あれはひょっとして?
この日は掃除をして窓全開にした。埃って言うのは何もしなくても出てくるのは不思議だ。掃除をしたことのない人は「汚さなければ汚れない」と思っているらしいが、そうではないのだよ。
あなたの代わりに誰かが、(たぶん奥さんやお母さん)が、せっせと掃除をしてくれているのだよ。
代わりに掃除してくれる人のいないくうみんは、家具の上や壁との境、網戸などにハタキをかけ、床に掃除機をかけ、フイトルモップ、必要に応じて雑巾がけと、汗だくになって掃除を終えた。
そして順次網戸を閉めて行ったのだが、くうみんの鏡台やタンスの置いてある部屋、くうみん父の祭壇のある部屋の天井近くに一匹の虫が止まっているのに気が付いた。
ぎぇ~!!ハチ!!


ちょっとぼけているがおケツに針があるように見える
「ちょっと、出てってよ!」
大きな声をあげたがハチはびくともしない。
しばらく網戸を開けておけば、そのうち出ていくだろう。そう思って放っておいた。追っ払うのは危険だし、キンチョールを撒けば死ぬんだろうけど、この時期虫を殺すのはなんだかな。お盆はもう過ぎたけど、ひょっとして先祖の霊かもしれないじゃない。
夜になってもそのままだ。ブンブン飛んでいれば怖いけど、ここに静かにしているなら一晩このまま止まらせておこう。
翌朝、くうみんはいつものようにおじさんの祭壇、おじさん家の祭壇、くうみん父の祭壇と順番に線香をあげた。くうみん父の祭壇の上の天井には、ハチがまだ止まっている。朝になったのがわかるのか、前足で顔をこすっている。
ずっとここにいたら死んじゃうな。昨日から飲まず食わずでかなり弱っているんじゃないか?
そう思ったくうみんは脱脂綿に水を浸してフイトルモップの柄に載せ、ハチの近くに持って行った。
「水だ、飲め」
ハチは最初、なんだろうという表情だったが、水の匂いがわかったのか、脱脂綿に乗り移って口を付けた。水を飲んだらしい。
ハチを乗せたままフイトルモップの先端をベランダにそっと置くとハチはそこから降りて、飛んで行った。
良かった。水を飲んで元気が出たらしい。もう迷い込むなよ。
しかし…あれは誰かの魂だったのか?おじさんじゃないように思った。
そうだ!あれはくうみん父だ。
くうみん父は肺がんで亡くなった。気が付いた時はあと数日の命と言われた。点滴だけの絶飲食だったが、盛んに水を欲しがった。
「大丈夫、飲ませてあげる」
今もそうだが、この頃くうみんはおのがガン治療を通して、医療に大変な不信感を抱いていた。この時も医者や看護師の言うことなんか聞く気はなかった。
割りばしに脱脂綿を括り付け、水を浸して父の口に入れた。父はおいしそうに水を飲んだ。
「もういい?食べたいものは?」
「うん、もういい」
たったこれだけのこと…
看護師がくうみんを見とがめた。
「あなた何をしているんですか?!」
くうみんは看護師の方を向いた。
「水を飲ませました」
あと数日の命の人間に、何を我慢しろと言うのか?
「もう少しよくなったらこんなところ出て行こうよ」
「そうだな」
それはついに叶わず、入院8日目で父は亡くなった。
あとから思った。無理やり家に帰してしまえばよかった。翌日亡くなってしまったとしても、その方が幸せだった。
あ、話が逸れた。
脱脂綿に水を浸して飲んだ父、そしてハチ。
あのハチは、きっと父だったんだろう。おじさんだけでなく、こっちも気にかけろって?
あいよ。
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代わりに掃除してくれる人のいないくうみんは、家具の上や壁との境、網戸などにハタキをかけ、床に掃除機をかけ、フイトルモップ、必要に応じて雑巾がけと、汗だくになって掃除を終えた。
そして順次網戸を閉めて行ったのだが、くうみんの鏡台やタンスの置いてある部屋、くうみん父の祭壇のある部屋の天井近くに一匹の虫が止まっているのに気が付いた。
ぎぇ~!!ハチ!!


ちょっとぼけているがおケツに針があるように見える
「ちょっと、出てってよ!」
大きな声をあげたがハチはびくともしない。
しばらく網戸を開けておけば、そのうち出ていくだろう。そう思って放っておいた。追っ払うのは危険だし、キンチョールを撒けば死ぬんだろうけど、この時期虫を殺すのはなんだかな。お盆はもう過ぎたけど、ひょっとして先祖の霊かもしれないじゃない。
夜になってもそのままだ。ブンブン飛んでいれば怖いけど、ここに静かにしているなら一晩このまま止まらせておこう。
翌朝、くうみんはいつものようにおじさんの祭壇、おじさん家の祭壇、くうみん父の祭壇と順番に線香をあげた。くうみん父の祭壇の上の天井には、ハチがまだ止まっている。朝になったのがわかるのか、前足で顔をこすっている。
ずっとここにいたら死んじゃうな。昨日から飲まず食わずでかなり弱っているんじゃないか?
そう思ったくうみんは脱脂綿に水を浸してフイトルモップの柄に載せ、ハチの近くに持って行った。
「水だ、飲め」
ハチは最初、なんだろうという表情だったが、水の匂いがわかったのか、脱脂綿に乗り移って口を付けた。水を飲んだらしい。
ハチを乗せたままフイトルモップの先端をベランダにそっと置くとハチはそこから降りて、飛んで行った。
良かった。水を飲んで元気が出たらしい。もう迷い込むなよ。
しかし…あれは誰かの魂だったのか?おじさんじゃないように思った。
そうだ!あれはくうみん父だ。
くうみん父は肺がんで亡くなった。気が付いた時はあと数日の命と言われた。点滴だけの絶飲食だったが、盛んに水を欲しがった。
「大丈夫、飲ませてあげる」
今もそうだが、この頃くうみんはおのがガン治療を通して、医療に大変な不信感を抱いていた。この時も医者や看護師の言うことなんか聞く気はなかった。
割りばしに脱脂綿を括り付け、水を浸して父の口に入れた。父はおいしそうに水を飲んだ。
「もういい?食べたいものは?」
「うん、もういい」
たったこれだけのこと…
看護師がくうみんを見とがめた。
「あなた何をしているんですか?!」
くうみんは看護師の方を向いた。
「水を飲ませました」
あと数日の命の人間に、何を我慢しろと言うのか?
「もう少しよくなったらこんなところ出て行こうよ」
「そうだな」
それはついに叶わず、入院8日目で父は亡くなった。
あとから思った。無理やり家に帰してしまえばよかった。翌日亡くなってしまったとしても、その方が幸せだった。
あ、話が逸れた。
脱脂綿に水を浸して飲んだ父、そしてハチ。
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あいよ。
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