法要外伝 霊能師兼日蓮宗尼僧照玉師来たる
49日の法要はブロ友でもあるドジ霊能師照玉師にお願いした。49日を3日遅れての日程だったが、本職がこの日でもいいというのだから、いいのだろう。
お経をあげてもらって、お昼ご飯を食べるのだが、外に出ていくのは面倒なので出前を取ることにした。
「お寿司は食べられますか?」
「口を大きく開けられないので、にぎりは無理。だけど海苔巻やちらしなら大丈夫」
と言うので、かんぴょう巻きとかっぱ巻きを頼むことにする…のではなく、照玉師には特上ちらし、他は特上にぎりを注文することにした。
当日はおじさんのお姉さん方も出席してくれた。長い長いお経で、すっかり足が痺れてしまった。終わった時は本当にホッとした。
「ささ、照玉師、こちらへ。昼食の支度がしてございます」
4人で食卓を囲む。
「くうみんさん、魚が新鮮でおいしいわね」
ドジ霊能師照玉師は口が開かないという割には大口を開けてちらし寿司をお召し上がりになっている。
「はあ、この辺は海の近くですからね。大垣は海、ないんですか?」
「ないのよ、だから魚と言えばアユやウナギ」
くうみんは大事なことを思い出した。
「照玉師、忘れないうちにお布施を」
くうみんは封筒に入れたお布施を渡した。照玉師はいそいそと封筒をバッグにしまった。
「忘れる人もいるんでしょ?」
席に戻ったドジ霊能師、照玉師は再び箸を持ちながら言った。
「いるわよ、でもこちらから催促はできないのよね」
そんな時はどうするのだろうか?
「う、ごほん、んっ、んっ」
などと言って、それとなくわかるように仕向けるくらいしかできないだろう。
照玉師は5時から仕事だという。
「Kに行きたいんだけど、どう行けばいいのかしら?」
「Kですか?」
お姉さんがスマホで調べて結果を見せた。
「お姉さん、ダメです、そんなのすぐ忘れます」
くうみんはパソコンを開いて行き方を検索し、プリントアウトした。
「これ持って行けば大丈夫」
照玉師はくうみんが渡した紙を見たが、
「ダメ、見えないわ」
それはこのくうみんにもよく判る。若い頃なら絶対に理解できない、近くのものが見えない現象…くうみんはマジックで乗換駅や、何番線発着なのかを、大きく書いて手渡した。
「いいですか、この通りに行くんですよ。わからなかったら駅員さんに聞いて」
「これならわかるわ」
ホントカヨ。
東京の地下鉄は覚えるのは難しい。駅に着いてから案内を見て目的地に行く。何と言っても照玉師はドジ、いや、地方からおいでで、その上800才と言う高齢、公共の交通機関を乗りこなすのは至難の技であろう。
照玉師はfc2にコメントが書けない。
「何よ、このメールアドレスとかナンタラって」
「それは書かなくていいんです。こうすればいいんです」
手取り足取り教えて差し上げるが、年配者がよくする、マウスを動かし過ぎてカーソルの位置が判らなくなるという状態を長く続ける。
「そんなに大きく動かさないで!ああっ!もう!」
この方の地元でのパソコン指導は「マネージャー君」がしてくれるらしいが、「マネージャー君」の気持ちがよく判る。きっとくうみんと同じようなことを叫んでいると思う。
お姉さん方はほどなく帰って行った。二人で談笑していると、照玉師の携帯が鳴った。
「あら、金ちゃんだわ」
なんですか、金太郎さんとテレビで仕事をすることが時々あるらしい。マイナーなBSやケーブルテレビの出演だが、せめてテレビ東京の旅番組に出るくらい出世して欲しいものだ。その時はくうみんも連れて行って欲しいが…無理か。
「もうすぐ出ます。はい、大丈夫です」
向こうも、照玉師のドジが性格が判っているのか、確認の電話だ。
「照玉師、送りますよ~」
くうみんの家は駅から1分もかからない所にある。くうみん母ですら一人で行ける。しかしこの方の場合は、反対側に行ってしまいそうで怖い。
「ありがとう」
荷物を持って照玉師が立ち上がる。
駅まで送って反対方向に乗らないよう、確認してから家に戻った。
家に帰ると、おじさんの骨壺を抱いて目をつぶる。
「おじさん」
おじさんが遠くに行くのは悲しいけれど、いつか必ず会える時が来ると信じています。だから早く天に登って、高い位の霊になって、くうみんを見守ってください。
今日のお経はどうでしたか?くうみんからのプレゼント。

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お経をあげてもらって、お昼ご飯を食べるのだが、外に出ていくのは面倒なので出前を取ることにした。
「お寿司は食べられますか?」
「口を大きく開けられないので、にぎりは無理。だけど海苔巻やちらしなら大丈夫」
と言うので、かんぴょう巻きとかっぱ巻きを頼むことにする…のではなく、照玉師には特上ちらし、他は特上にぎりを注文することにした。
当日はおじさんのお姉さん方も出席してくれた。長い長いお経で、すっかり足が痺れてしまった。終わった時は本当にホッとした。
「ささ、照玉師、こちらへ。昼食の支度がしてございます」
4人で食卓を囲む。
「くうみんさん、魚が新鮮でおいしいわね」
「はあ、この辺は海の近くですからね。大垣は海、ないんですか?」
「ないのよ、だから魚と言えばアユやウナギ」
くうみんは大事なことを思い出した。
「照玉師、忘れないうちにお布施を」
くうみんは封筒に入れたお布施を渡した。照玉師はいそいそと封筒をバッグにしまった。
「忘れる人もいるんでしょ?」
席に戻った
「いるわよ、でもこちらから催促はできないのよね」
そんな時はどうするのだろうか?
「う、ごほん、んっ、んっ」
などと言って、それとなくわかるように仕向けるくらいしかできないだろう。
照玉師は5時から仕事だという。
「Kに行きたいんだけど、どう行けばいいのかしら?」
「Kですか?」
お姉さんがスマホで調べて結果を見せた。
「お姉さん、ダメです、そんなのすぐ忘れます」
くうみんはパソコンを開いて行き方を検索し、プリントアウトした。
「これ持って行けば大丈夫」
照玉師はくうみんが渡した紙を見たが、
「ダメ、見えないわ」
それはこのくうみんにもよく判る。若い頃なら絶対に理解できない、近くのものが見えない現象…くうみんはマジックで乗換駅や、何番線発着なのかを、大きく書いて手渡した。
「いいですか、この通りに行くんですよ。わからなかったら駅員さんに聞いて」
「これならわかるわ」
ホントカヨ。
東京の地下鉄は覚えるのは難しい。駅に着いてから案内を見て目的地に行く。何と言っても照玉師は
照玉師はfc2にコメントが書けない。
「何よ、このメールアドレスとかナンタラって」
「それは書かなくていいんです。こうすればいいんです」
手取り足取り教えて差し上げるが、年配者がよくする、マウスを動かし過ぎてカーソルの位置が判らなくなるという状態を長く続ける。
「そんなに大きく動かさないで!ああっ!もう!」
この方の地元でのパソコン指導は「マネージャー君」がしてくれるらしいが、「マネージャー君」の気持ちがよく判る。きっとくうみんと同じようなことを叫んでいると思う。
お姉さん方はほどなく帰って行った。二人で談笑していると、照玉師の携帯が鳴った。
「あら、金ちゃんだわ」
なんですか、金太郎さんとテレビで仕事をすることが時々あるらしい。マイナーなBSやケーブルテレビの出演だが、せめてテレビ東京の旅番組に出るくらい出世して欲しいものだ。その時はくうみんも連れて行って欲しいが…無理か。
「もうすぐ出ます。はい、大丈夫です」
向こうも、照玉師の
「照玉師、送りますよ~」
くうみんの家は駅から1分もかからない所にある。くうみん母ですら一人で行ける。しかしこの方の場合は、反対側に行ってしまいそうで怖い。
「ありがとう」
荷物を持って照玉師が立ち上がる。
駅まで送って反対方向に乗らないよう、確認してから家に戻った。
家に帰ると、おじさんの骨壺を抱いて目をつぶる。
「おじさん」
おじさんが遠くに行くのは悲しいけれど、いつか必ず会える時が来ると信じています。だから早く天に登って、高い位の霊になって、くうみんを見守ってください。
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