有田へ おじさんが買った小さな小さな柿右衛門
今回はおじさんが「焼き物を買いたい」と言うことで伊万里、有田に来たのだった。
しかし、くうみんはそそっかしい。物の価値も判らない。
父が残したヴァカラのグラスや高級そうな陶磁器、片っ端から割ってしまい、澄ましていた。あとでその値段の高さに背中が泡立つ思いをすることに。
と言うことで実用品は買わないで、飾るものを買うことにした。
こう言ったものは一目惚れしたものを買うのだそうだ。
「こんなもんかな」
と言うのはNG。あとから
「あれ、良かったな」
と思って再び買いに行っても、すでになくなっていることが少なくないと言う。
人に恋するのと同じだろうか。
今日は有田に行くことにした。
伊万里焼は本当は有田で造られているそうだ。出荷するのが伊万里だったので、そう言われるようになったらしい。
今では有田焼と言う名称を使い、江戸時代の一時期伊万里焼と呼ばれていたものを今では古伊万里と呼んでいるそうだ。
だから伊万里には焼き物のお店はほとんどない。今日は上有田まで電車で行ってそぞろ歩くことにした。
「晴れるぞ!!」と言うくうみんの思い込みの深さに雨の予報は吹っ飛んで今日は快晴。日焼けしないように傘を差して行く。
上有田の駅から柿右衛門窯に向かった。すると近くのおぢさんが声をかけてきた。
「どこ行くね?!」
「柿右衛門窯へ」
「ああ、柿右衛門窯ならそっちだよ。あの銀杏を見なさい。あれは樹齢千年なんだよ」
「へぇ、そうなんですか。帰りに寄ってみます、ありがとうございます」
おぢさんは本当はもっと訛りバリバリだ。九州では良く、向こうから声をかけてくれる。初めのうちはその訛りがこちらの耳には詰問しているように聞こえてドキッとしたが、親切で話しかけてくれているのは判るのですぐに慣れた。

親切なおぢさんが教えてくれた樹齢千年のイチョウの木
途中無人の野菜売り場があった。近所の人だろうか、「安いわね」と言いながら買っているので覗いてみると、おお!白菜が150円!大根が100円!買いたい!でもまだ道中は長い。諦めよう。
しばらく行くと柿右衛門君の家が見えた。表の方にはお店があって、裏方には展示室がある。展示室は入場無料で、焼き物が十数点、展示されていた。13代から15代柿右衛門さんの写真があった。今は15代柿右衛門さんだ。
店に行くと他にも夫婦がいてその夫婦はかなりたくさんの焼き物を買ったようだ。宅配便の手配をしてもらっている。
「これ、いいな」
おじさんは一つの花瓶を手にした。高さ10センチくらいの小さな小さな花瓶。大きいのは高い。
先客の接待が終わるのを待っていたが、なかなか終わらない。
先客の夫婦はお茶とお菓子を出してもらって、
「急がなくていいですよ、ワッハッハ!」
など言っている。こっちは待っているんだから急いでもらわないと。
「すみません、終わったらこちらもお願いします」
接客係の上品なぢい様がポカンと口を開き、こちらを見た。
「こいつら、買うのか?!」
顔がそう言っている。うちだっていい年した大人でっせ。
「少しお待ちください」
先客が帰ると、おじさんが手にした花瓶と同じものを下の棚から出して桐の箱に入れてくれた。箱には「柿右衛門」と書いてあった。これは捨ててはならないのだろう。
お姉さんがくうみん達にもお茶とお菓子を出してくれた。器はもちろん柿右衛門。壊したら大変だ。お菓子は持って帰った。

さすが柿右衛門君、上品だ
柿右衛門くんちのトイレだったら快適だろう。トイレも借りていく。

きれいな柿右衛門君ちのトイレ

トンパイ塀の道 トンパイ と言うのは磁器を焼く登り窯を解体した廃材のことだそうだ。これを使って塀を作ったのだ。

解放されている古民家 町内の女性なのか、お茶まで出してくれた

すっきりとした室内

趣あるお風呂 今はガスでわかすそうだ。
人は住んでいないが、宿泊施設として使うこともあるそうだ。でも、あまり宿泊できると公開はしていないと。

有田の街並み
秀吉が朝鮮出兵したとき、多くの陶工を連れ帰った。くうみんの使った歴史の教科書には「招致」と言ういい方をしていた。
でも、これは「拉致」だったのだろう。くうみんも、事実は事実として認める。
この方たちのおかげで日本の陶磁器は発展を遂げ、国外に輸出することで国として大きな利益を得た一つの要因になったことだろう。

陶祖李参平像

故郷朝鮮半島に向けた李参平様の碑
上有田から有田までてくてく歩いた。いい加減疲れたがまだまだ見どころがある。最後の力を振り絞って観光だ。有田駅近くにある県立九州陶磁文化館。
豪華な陶磁器は蒲原(かんばら)コレクション

お金持ちの蒲原さんが、国外に流出した豪華な伊万里焼を買い戻したものだそうだ。欧米人好みに超豪華ハデハデなものが目立つ。
国内向けのわびさび、柴田夫妻コレクション

国内向けにはすっきりと洗練された焼き物が。これだって普段使いなど恐ろしくてできないが

おじさんが買った小さな小さな花瓶と同じ模様の大皿
明日はくうみん期待の長崎に向かう。
この日の夕飯は何を食べたかって?
聞いてくれるな。

おじさんが買った小さな小さな柿右衛門
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しかし、くうみんはそそっかしい。物の価値も判らない。
父が残したヴァカラのグラスや高級そうな陶磁器、片っ端から割ってしまい、澄ましていた。あとでその値段の高さに背中が泡立つ思いをすることに。
と言うことで実用品は買わないで、飾るものを買うことにした。
こう言ったものは一目惚れしたものを買うのだそうだ。
「こんなもんかな」
と言うのはNG。あとから
「あれ、良かったな」
と思って再び買いに行っても、すでになくなっていることが少なくないと言う。
人に恋するのと同じだろうか。
今日は有田に行くことにした。
伊万里焼は本当は有田で造られているそうだ。出荷するのが伊万里だったので、そう言われるようになったらしい。
今では有田焼と言う名称を使い、江戸時代の一時期伊万里焼と呼ばれていたものを今では古伊万里と呼んでいるそうだ。
だから伊万里には焼き物のお店はほとんどない。今日は上有田まで電車で行ってそぞろ歩くことにした。
「晴れるぞ!!」と言うくうみんの思い込みの深さに雨の予報は吹っ飛んで今日は快晴。日焼けしないように傘を差して行く。
上有田の駅から柿右衛門窯に向かった。すると近くのおぢさんが声をかけてきた。
「どこ行くね?!」
「柿右衛門窯へ」
「ああ、柿右衛門窯ならそっちだよ。あの銀杏を見なさい。あれは樹齢千年なんだよ」
「へぇ、そうなんですか。帰りに寄ってみます、ありがとうございます」
おぢさんは本当はもっと訛りバリバリだ。九州では良く、向こうから声をかけてくれる。初めのうちはその訛りがこちらの耳には詰問しているように聞こえてドキッとしたが、親切で話しかけてくれているのは判るのですぐに慣れた。

親切なおぢさんが教えてくれた樹齢千年のイチョウの木
途中無人の野菜売り場があった。近所の人だろうか、「安いわね」と言いながら買っているので覗いてみると、おお!白菜が150円!大根が100円!買いたい!でもまだ道中は長い。諦めよう。
しばらく行くと柿右衛門君の家が見えた。表の方にはお店があって、裏方には展示室がある。展示室は入場無料で、焼き物が十数点、展示されていた。13代から15代柿右衛門さんの写真があった。今は15代柿右衛門さんだ。
店に行くと他にも夫婦がいてその夫婦はかなりたくさんの焼き物を買ったようだ。宅配便の手配をしてもらっている。
「これ、いいな」
おじさんは一つの花瓶を手にした。高さ10センチくらいの小さな小さな花瓶。大きいのは高い。
先客の接待が終わるのを待っていたが、なかなか終わらない。
先客の夫婦はお茶とお菓子を出してもらって、
「急がなくていいですよ、ワッハッハ!」
など言っている。こっちは待っているんだから急いでもらわないと。
「すみません、終わったらこちらもお願いします」
接客係の上品なぢい様がポカンと口を開き、こちらを見た。
「こいつら、買うのか?!」
顔がそう言っている。うちだっていい年した大人でっせ。
「少しお待ちください」
先客が帰ると、おじさんが手にした花瓶と同じものを下の棚から出して桐の箱に入れてくれた。箱には「柿右衛門」と書いてあった。これは捨ててはならないのだろう。
お姉さんがくうみん達にもお茶とお菓子を出してくれた。器はもちろん柿右衛門。壊したら大変だ。お菓子は持って帰った。

さすが柿右衛門君、上品だ
柿右衛門くんちのトイレだったら快適だろう。トイレも借りていく。

きれいな柿右衛門君ちのトイレ

トンパイ塀の道 トンパイ と言うのは磁器を焼く登り窯を解体した廃材のことだそうだ。これを使って塀を作ったのだ。

解放されている古民家 町内の女性なのか、お茶まで出してくれた

すっきりとした室内

趣あるお風呂 今はガスでわかすそうだ。
人は住んでいないが、宿泊施設として使うこともあるそうだ。でも、あまり宿泊できると公開はしていないと。

有田の街並み
秀吉が朝鮮出兵したとき、多くの陶工を連れ帰った。くうみんの使った歴史の教科書には「招致」と言ういい方をしていた。
でも、これは「拉致」だったのだろう。くうみんも、事実は事実として認める。
この方たちのおかげで日本の陶磁器は発展を遂げ、国外に輸出することで国として大きな利益を得た一つの要因になったことだろう。

陶祖李参平像

故郷朝鮮半島に向けた李参平様の碑
上有田から有田までてくてく歩いた。いい加減疲れたがまだまだ見どころがある。最後の力を振り絞って観光だ。有田駅近くにある県立九州陶磁文化館。
豪華な陶磁器は蒲原(かんばら)コレクション

お金持ちの蒲原さんが、国外に流出した豪華な伊万里焼を買い戻したものだそうだ。欧米人好みに超豪華ハデハデなものが目立つ。
国内向けのわびさび、柴田夫妻コレクション

国内向けにはすっきりと洗練された焼き物が。これだって普段使いなど恐ろしくてできないが

おじさんが買った小さな小さな花瓶と同じ模様の大皿
明日はくうみん期待の長崎に向かう。
この日の夕飯は何を食べたかって?
聞いてくれるな。

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