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年寄り騙す悪い奴 その2

 くうみんは一人電車に乗ると、ここから2時間ほどもかかる実家に向かいました。
 実家に着くと、くうみん母は、保険証券を用意して待っていました。
 見るとつい先日の日付で、解約したと同じ保険に入っていました。

 今度はくうみんの弟、珍太郎がが5年以内に死んだら、500万円が入るという契約です。払込金は一時払いで、100万円ほどだったでしょうか。怪我をしたときや病気の時の入院保障はありますが、これらを使わなかったり、5年以内に死ななかったら、「お祝い金」として数十万円が支給されるだけです。

 そして一番驚いたのは、弟自身がこの保険の契約をしていることになっていることです。弟はこの数年前から、某離島(以下、仮にひょうたん島という)で働いています。

「なによこれは!なんで珍太郎が契約者なのよ!珍太郎はひょうたん島にいるんだろうが!」
「これで大丈夫って、保険屋のYさんが」

 何が大丈夫よ!これはこちらで解約できないように悪知恵絞ったに違いない。これじゃひょうたん島の珍太郎でないと契約解除できない。

「この人に連絡したいから電話番号教えて」
「はいはい」
くうみん母はよっこらしょと立ち上がって保険屋の封筒を持ってきました。

 くうみんはピポパとダイヤルして、Yさんを呼び出しました。
「はい、Yです」
 Yさんは初老の男性と思われる。

「先日母に保険を解約させたんですけどね、また入らせたんですね」
「いえ、入っていただいて、どうも」

「どうもじゃないでしょ!こんなたいして有利とも思えない保険、解約したらすぐに入れさせるなんて!第一契約者は弟になっていますけど、これはどういうことですか!」
「いえ、あの」
 Yさんは、次第にしどろもどろになっていきます。

「弟は今、ひょうたん島ですよ!契約できる訳ないでしょう!それに契約時に必要な保険証か、免許証はどこで手に入れたんです?!」
「えっと、ひょうたん島に行く前にも、別の保険を契約していただいたんですがその時にコピーさせていただいた保険証を使わせていただきました」

 くうみんはあまりのことに頭が空白状態になりました。絶句していると、Yさんが言いました。
「どうしました?!もしもし!」
「どうしましたじゃないわよ!それって犯罪じゃないですか!ちょっとこっちでどうするか検討しますからね、覚えてらっしゃい!」

 電話を切ると、おじさんにも連絡し、今後の善後策を相談しました。
「解約するしかないだろ」
「うん、だけど本人がいないのに勝手に契約者にしたり、以前の書類についていた保険証を使ったり、悪質すぎるからさ」

 結局この契約については、
「Yさんにはお世話になっているし、ことを荒立てないで欲しい」
という母の希望で、穏便に、契約解除だけで済ませました。弟に事情を説明、いろいろ面倒な手続きで大変でしたが。

 小さな町だからことを荒立ててお互い気まずいのも困るだろうし、くうみん母は、愚痴と自慢話しかしない人間、その話を辛抱強く、おそらく何時間も聞かされた挙句に契約をとったであろうと想像すると、気の毒な気もしたのです。

 「私や珍太郎が5年以内に死ぬ訳ないでしょう」
「そうね、賭けね」

 めまいがしそう…5年以内に私が死んで500万円入ったら、賭けに勝ったとでも言うのか?

 これにて一件落着…ではなかった。

続く

 
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No title

昨日から、すごい展開だと拝見していましたが…
まだ続きがあるんですか?!い、いったいどんな…(--;)

保険の契約書類の、あの細かーいミクロサイズの文字ビッシリの紙ですよね?ご主人さんが苦労されつつもきちんと読んだお蔭で、早めに手が打ててよかった…と思ってここまで読ませて貰いましたが、まだ何かありそうで。

しかし、弟さん(本人)不在で契約してしまう保険屋って、すごいですね。」

リンクして下さってありがとうございます!
私も、アメブロの機能をよく読んでみます。

No title

こんにちは!

早速おじゃまさせていただきました。

しかし・・・これで解決ではないという・・・!
すごいエピソードですねぇ。
前回からの流れだけでも驚きでしたが・・・。

契約書についていた書類のコピーを使うという
あたりにかなり驚きました・・・。

次の回楽しみにしております。

こんごともよろしくおねがいします。

Re: No title

> 昨日から、すごい展開だと拝見していましたが…
> まだ続きがあるんですか?!い、いったいどんな…(--;)
>
> 保険の契約書類の、あの細かーいミクロサイズの文字ビッシリの紙ですよね?ご主人さんが苦労されつつもきちんと読んだお蔭で、早めに手が打ててよかった…と思ってここまで読ませて貰いましたが、まだ何かありそうで。
>
> しかし、弟さん(本人)不在で契約してしまう保険屋って、すごいですね。」
>
> リンクして下さってありがとうございます!
> 私も、アメブロの機能をよく読んでみます。

男爵の両親はまだ頭しっかりしているだろうけど、うちはもうひどいもんだ。それでも本人は大丈夫のつもりなところが、ますます怪しい。
 アメブロくらいは使いこなさんかい!fc2はまだまだ奥が深い。

Re: No title

> こんにちは!
>
> 早速おじゃまさせていただきました。
>
> しかし・・・これで解決ではないという・・・!
> すごいエピソードですねぇ。
> 前回からの流れだけでも驚きでしたが・・・。
>
> 契約書についていた書類のコピーを使うという
> あたりにかなり驚きました・・・。
>
> 次の回楽しみにしております。
>
> こんごともよろしくおねがいします。

 まあ、まんずさく様、こちらこそ突然訪ねて行って、びっくりされたのではと。

 本当は、こんなの消費者センターにでも言ったら、大騒ぎになることです。でも、田舎だから穏便に、と。
今日はこれくらいにしといちゃる!てなもんです。

 こちらこそよろしくです。

No title

これって、高齢者の心理に付け込んだ、立派な犯罪ですね。

また次の獲物を見つけてやらかすんじゃないかな。

No title

ええ!これだけでも怒り心頭なのに、まだ続く?
これは犯罪ですね。
何とか文書偽造、詐欺、etc…
こう言うのはきつくお灸をすえてやらなきゃ、またどこかのお年寄りがカモに。

Re: No title

> これって、高齢者の心理に付け込んだ、立派な犯罪ですね。
>
> また次の獲物を見つけてやらかすんじゃないかな。

 そうです、犯罪です。田舎町だと正当に警察に訴えると、被害者ヅラするのは、むしろ加害者側(保険屋)の方でしょう。

「知っている人相手に、ことを荒立てたくない」
 日本人の心理を突いています。

Re: No title

> ええ!これだけでも怒り心頭なのに、まだ続く?
> これは犯罪ですね。
> 何とか文書偽造、詐欺、etc…
> こう言うのはきつくお灸をすえてやらなきゃ、またどこかのお年寄りがカモに。

 そうなんですよね、本当は訴えたほうが良かったのかも知れない。
 
 でも田舎町のこと、みんな知り合いだから、加害者の方も甘えがあって、被害者の方も「穏便に」みたいになってしまうのも仕方ないような。だからダメなんだろうけど。
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