富士山に行った友達の話
その人とは、以前はたまにあっていたのだが、このコロナのおかげで、今ではメールや電話で話をするくらいになっている。
彼女は富士山に登ったそうだ。
「いいな、私も行きたいな」
「それがねえ…」
台風6号はやり過ごせそうだと安心していると、新たに台風8号が発生してしまった。この台風のおかげで、大変な目に遭ったらしい。
一日目はいい天気。平日なので人も少なく、気分良く登り始めた。ある程度上ると、急な岩場があった。そこで夫婦ものが上を見上げている。岩場には、70前後と思われるオヤジが張り付いていた。まったく前に進まない。
私もこんなに苦労するのかしら?そう思いつつ、夫婦ものと同じようにオヤジを見上げていたら、高校生くらいの3人組があとからやってきて、
「岩場じゃん」
「早く行っちまわね?」
そうさんざめくように話しながら、さっさかオヤジを追い抜いてしまった。
なんだ、簡単じゃん。
友達はいまだオヤジを見上げている夫婦を後にして、高校生と同じように、さっさか登って行ったとさ。
富士山というのは、一日目は山小屋で夕食(カレーライスにほぼ決まっている)を食べた後、仮眠をとり、夜中の1時頃から3時頃(山小屋の位置によって変わる)に、山頂に向けて出発することになっている。
今回は8合目より上にある、本8合目のトモエ館。距離的には8合目の「元祖室」がいいと思ったのだが、元祖室はスマホの充電ができないのに対し、トモエ館はスマホの充電ができるのでこっちにした。
どちらも一長一短で、元祖室は宿泊者はトイレ無料で、トモエ館は宿泊者でも一回につき100円使用料を払う。
山小屋はいつもと違って大変空いていた。人も少ないのだが、以前はすし詰め状態の寝床が、一畳に一人くらいに制限されていたとのこと。
本8合目と8合目では、空気の薄さがだいぶ違う。本8合目では、ちょっと動くと息が上がった。
ここまではよかったのだ。
次第に風が強くなり、山小屋内で、アナウンスがあった。
「風が大変強いです。明るくなるまでは山小屋を出ないように」
みんながどうしたかわからない。でも、トイレに行くために外に行くと、軽量級の彼女は、吹き飛ばされそうになった。なので、頂上に行くのは断念して、下山することにしたそうだ。
若い人達4、5人の後についていった。しかし、この若者たちは、歩くのが大変遅かった。
ズサッズサッ!ザザザザザ!
友達は、ストックを使ってざらざら道を下って行った。見上げると若い者どもがちょっと驚いた顔をしているのでうれしくなった。
まだまだ、私はイケる…ニヤッと笑って、その場を立ち去った。
その調子で、人を何組も追い越して5合目に到着した。
着ているカッパには、防水加工を施したはずだが、服はかなり湿っている。この夏なのに、震えが来るほど寒かった。
今回はツアーではなく、路線バスを利用したのだが、行きのバスは結構人がいたのに、帰りは友達を入れて3人しかいなかったそうだ。他の人たちはどこに消えたんだろう?
這う這うの体で、家に帰った。
旅行、特に山は天気で、ほぼ決まる。こんなにひどい目に遭ったのは、みんなが耐え忍んでいる中、登山をした罰が当たったんだろうか?
そのようなメールが届いたので、大変だったねえ、と書いてその続きに、
「富士山の神様は、女の人だから、美人が来ると嫉妬して、大荒れになると聞きました。〇ちゃんはきれいだから、きっと神様が嫉妬したんだと思うよ」
その人はくうみんと違って、歳は行っているが、大変な美形だった。
くうみんも早く富士山に登りたい。くうみんはブスだから、こんなことにはならないだろう。
面白いと思ったらクリックしてください。励みになります。Ctrlキーを押しながら、ポチポチと続けて押せば画面が飛びません。
↓


にほんブログ村

彼女は富士山に登ったそうだ。
「いいな、私も行きたいな」
「それがねえ…」
台風6号はやり過ごせそうだと安心していると、新たに台風8号が発生してしまった。この台風のおかげで、大変な目に遭ったらしい。
一日目はいい天気。平日なので人も少なく、気分良く登り始めた。ある程度上ると、急な岩場があった。そこで夫婦ものが上を見上げている。岩場には、70前後と思われるオヤジが張り付いていた。まったく前に進まない。
私もこんなに苦労するのかしら?そう思いつつ、夫婦ものと同じようにオヤジを見上げていたら、高校生くらいの3人組があとからやってきて、
「岩場じゃん」
「早く行っちまわね?」
そうさんざめくように話しながら、さっさかオヤジを追い抜いてしまった。
なんだ、簡単じゃん。
友達はいまだオヤジを見上げている夫婦を後にして、高校生と同じように、さっさか登って行ったとさ。
富士山というのは、一日目は山小屋で夕食(カレーライスにほぼ決まっている)を食べた後、仮眠をとり、夜中の1時頃から3時頃(山小屋の位置によって変わる)に、山頂に向けて出発することになっている。
今回は8合目より上にある、本8合目のトモエ館。距離的には8合目の「元祖室」がいいと思ったのだが、元祖室はスマホの充電ができないのに対し、トモエ館はスマホの充電ができるのでこっちにした。
どちらも一長一短で、元祖室は宿泊者はトイレ無料で、トモエ館は宿泊者でも一回につき100円使用料を払う。
山小屋はいつもと違って大変空いていた。人も少ないのだが、以前はすし詰め状態の寝床が、一畳に一人くらいに制限されていたとのこと。
本8合目と8合目では、空気の薄さがだいぶ違う。本8合目では、ちょっと動くと息が上がった。
ここまではよかったのだ。
次第に風が強くなり、山小屋内で、アナウンスがあった。
「風が大変強いです。明るくなるまでは山小屋を出ないように」
みんながどうしたかわからない。でも、トイレに行くために外に行くと、軽量級の彼女は、吹き飛ばされそうになった。なので、頂上に行くのは断念して、下山することにしたそうだ。
若い人達4、5人の後についていった。しかし、この若者たちは、歩くのが大変遅かった。
ズサッズサッ!ザザザザザ!
友達は、ストックを使ってざらざら道を下って行った。見上げると若い者どもがちょっと驚いた顔をしているのでうれしくなった。
まだまだ、私はイケる…ニヤッと笑って、その場を立ち去った。
その調子で、人を何組も追い越して5合目に到着した。
着ているカッパには、防水加工を施したはずだが、服はかなり湿っている。この夏なのに、震えが来るほど寒かった。
今回はツアーではなく、路線バスを利用したのだが、行きのバスは結構人がいたのに、帰りは友達を入れて3人しかいなかったそうだ。他の人たちはどこに消えたんだろう?
這う這うの体で、家に帰った。
旅行、特に山は天気で、ほぼ決まる。こんなにひどい目に遭ったのは、みんなが耐え忍んでいる中、登山をした罰が当たったんだろうか?
そのようなメールが届いたので、大変だったねえ、と書いてその続きに、
「富士山の神様は、女の人だから、美人が来ると嫉妬して、大荒れになると聞きました。〇ちゃんはきれいだから、きっと神様が嫉妬したんだと思うよ」
その人はくうみんと違って、歳は行っているが、大変な美形だった。
くうみんも早く富士山に登りたい。くうみんはブスだから、こんなことにはならないだろう。
面白いと思ったらクリックしてください。励みになります。Ctrlキーを押しながら、ポチポチと続けて押せば画面が飛びません。
↓


にほんブログ村
- 関連記事
-
- ナスを求めて3千里 (2021/08/04)
- 富士山に行った友達の話 (2021/07/31)
- バスタオルの洗濯、どうしていますか? (2021/07/28)
スポンサーサイト