一番楽なはずの帰り道 瞬間、鳥になったくうみん お食事中には読まないでください
阿曽原温泉小屋では、山小屋としては遅い6時からの朝食だった。
食べる方も大事だが、出す方はもっと大事。しかし、これが甘かったことを後で思い知ることになる。
いつも出発ではしんがりを行くくうみんだが、いつも最後は嫌だという頭があって、早く行くことにした。この日はなんちゃって富山山岳会の皆さんの方が遅かった。
「それじゃ、私歩くのが遅いから先に行きます」
「ああ~、またお会いするでしょうな」
上り坂を30分ほど登った後は、ほとんど坂のない水平歩道になる。道も整備されている。こうなるとくうみんは速かった。やはりランナーと登山家では得意とするところが違う。ランナーは道さえ良ければ、速い。

朝のうちは天気は悪くなかった

日も差していた。このまま持ってくれよ…と思っていたのだが
雷が落ちたのだろうか、生木が引き裂かれていた。

文字通り、生木を引き裂いた

かわいいキノコ。これは食べられるかどうか、不明

スイスイと進むくうみん。しかし、早く出たがための失敗に気付いた。
「ううっ!」
想像できるだろうが、ベ〇意だ。いつものように幻だと思った。しかし…
前を歩く夫婦と思われる男女を追い越すとき、ちょっとした会話をした。
「まあ、速いですね!」
奥さんの方に声をかけられた。
くうみんは小さな声で囁くように言った。
「実は、トイレに行きたくて…」
「まあ、そうですか。私もさっき…あはは」
それだけの言葉を交わすと、くうみんは風のように去って行った。
これは幻…幻のベ〇意…
いや!これは幻ではない!本物のべ〇意だ!!
山の中には何も残すべきではない。しかし、こういう場合はやむを得ず次善の策を講じる。どこかに穴を掘ってそこでする。使った紙は持ち帰る。
場所を探すが、細い一本道があるばかりだ。
場所を探していると、地面すれすれの所の枯れ木に、ブナハリタケが生えているのを発見した。思わず採る。もっと採りたかったが、それどころではない。
やっと穴を掘れそうなところを探し、穴を掘ってズボンを下ろそうとしていると、若い男性が、後から来た。
「う、うん、ゴホン」
くうみんは手を止めて取り繕った。男性はさっさと先に行ってしまった。
いなくなったところを見計らって…
その速さは鳥並みの瞬間芸と言っていい。
使った紙をポリ袋に入れ、穴を埋め戻した。
しばらく歩いてから、休んでいると、先ほどの夫婦が現れた。
「若い男の人が来たでしょ?」
「はい」
「あの人、凄く歩くのが速いのよ。先を歩いているオバさんが、トイレに行きたいそうだから、ゆっくり歩いて行ってね、っていておいたのよ」
「えっ!私、さっき…」
もうバレバレだったのか!いくらオバさんでも、恥ずかしい。
この夫婦を後にして、先を行くと、先ほどの男性に一瞬追いついた。きまり悪かった。
朝から、降ったりやんだりだったのが、いつの間にか本降りになっている。でも、汗びっしょりでどうせ濡れているから、レインコートなしで進んで行った。

雲行きが怪しくなってきた

大太鼓の雄大な風景

道しるべ。このまま行けばいいんだな
ここは志合谷。真っ暗なトンネルを歩かなければいけない。


この中、真っ暗なんだよ
くうみんは、山に行く時に持って行く、小型の懐中電灯を手に、トンネルの中に入って行った。下には水が溜まっている。上は下手すると頭を打ってしまう。
こんな真っ暗な道が200メートルくらい続いただろうか。後ろから、男性の声が聞こえる。二人らしい。一人っきりで暗いトンネルを歩くのは心細かった。どうしよう?変な所に迷い込んで出られなくなったら?
しかし、無事通過。しばらく歩いて後ろを振り返ると、あのトンネルの入り口が見えた。
「トンネルよ、さらばじゃ」

真っ暗トンネルの入り口

この日すれ違ったのは、男性のソロ、若い男女一組、そして十数人ほどの団体さん。個人ならキャンセルするところでも、雨でも団体だと、決行することが多い。くうみんがツアーを敬遠する理由の一つ。
結局この団体さんたちは、阿曽原温泉小屋までは行かずに引き返したらしい。阿曽原温泉小屋のブログに、「今日は3人だけ」とあった。
もうすぐ駅のはず。下りに差し掛かってかなり経つ。でも、なかなか駅が見えない。

前を行く男性
駅が見えた!!そう思ってから一度、すっ転んだ。

もうすぐだ!すってん!
本当は近くの温泉宿にでも行こうかと思ったのだが、ずぶ濡れでそんな心の余裕がない。なんちゃって富山山岳会の面々にも再会したが、この人達も余裕がなかったのだろう、せわしなく挨拶してそのまま別れた。
山の下り坂で一瞬同行することになった男性の情報によると、更衣室はないらしい。トイレで着替えた。
欅平からのトロッコ列車も、いつもなら景色がよく見える、屋根のない普通車に乗るのだが、今回ばかりは屋根のあるリラックス車両へ。一番高いが、ここと普通車両しか空いていない。雨なのに、普通車に乗るツワモノもいるが、今回はパス。

窓ガラス曇りっぱなし

きれいな所なんだけどな

リラックス車両。宇奈月駅にて

業務用トロッコ列車の時刻表
宇奈月駅から歩いて、富山地方鉄道・宇奈月温泉駅へと向かった。駅に着くと同時くらいに、列車が出発してしまった。日頃の行いのせいかしら?
しばしっ待っていると列車が来た。列車は、この天気だからか、空いている。

レトロなうちやま駅

レトロな倉庫
そこから新黒部駅下車、歩いて黒部宇奈月温泉駅から、北陸新幹線に乗る。
駅のコンビニで、ビールとサンドイッチを仕入れて、自由席に乗り込んだ。

新幹線の中ではこれ。は~、生き返る

正直、ほっとした。もう一本飲んじゃえ!
いつの間にか晴れている。山の天気は意地悪なものよのう。

なんだ、今頃晴れやがって!
新幹線を乗り換えて、在来線へ。浅間山が見えた。浅間山を見ながら通勤通学っていいな。

かなりピンボケ浅間山。これにて登山終了
鳥になったくうみんって、何のことだと思った?
あっはっは!
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食べる方も大事だが、出す方はもっと大事。しかし、これが甘かったことを後で思い知ることになる。
いつも出発ではしんがりを行くくうみんだが、いつも最後は嫌だという頭があって、早く行くことにした。この日はなんちゃって富山山岳会の皆さんの方が遅かった。
「それじゃ、私歩くのが遅いから先に行きます」
「ああ~、またお会いするでしょうな」
上り坂を30分ほど登った後は、ほとんど坂のない水平歩道になる。道も整備されている。こうなるとくうみんは速かった。やはりランナーと登山家では得意とするところが違う。ランナーは道さえ良ければ、速い。

朝のうちは天気は悪くなかった

日も差していた。このまま持ってくれよ…と思っていたのだが
雷が落ちたのだろうか、生木が引き裂かれていた。

文字通り、生木を引き裂いた

かわいいキノコ。これは食べられるかどうか、不明

スイスイと進むくうみん。しかし、早く出たがための失敗に気付いた。
「ううっ!」
想像できるだろうが、ベ〇意だ。いつものように幻だと思った。しかし…
前を歩く夫婦と思われる男女を追い越すとき、ちょっとした会話をした。
「まあ、速いですね!」
奥さんの方に声をかけられた。
くうみんは小さな声で囁くように言った。
「実は、トイレに行きたくて…」
「まあ、そうですか。私もさっき…あはは」
それだけの言葉を交わすと、くうみんは風のように去って行った。
これは幻…幻のベ〇意…
いや!これは幻ではない!本物のべ〇意だ!!
山の中には何も残すべきではない。しかし、こういう場合はやむを得ず次善の策を講じる。どこかに穴を掘ってそこでする。使った紙は持ち帰る。
場所を探すが、細い一本道があるばかりだ。
場所を探していると、地面すれすれの所の枯れ木に、ブナハリタケが生えているのを発見した。思わず採る。もっと採りたかったが、それどころではない。
やっと穴を掘れそうなところを探し、穴を掘ってズボンを下ろそうとしていると、若い男性が、後から来た。
「う、うん、ゴホン」
くうみんは手を止めて取り繕った。男性はさっさと先に行ってしまった。
いなくなったところを見計らって…
その速さは鳥並みの瞬間芸と言っていい。
使った紙をポリ袋に入れ、穴を埋め戻した。
しばらく歩いてから、休んでいると、先ほどの夫婦が現れた。
「若い男の人が来たでしょ?」
「はい」
「あの人、凄く歩くのが速いのよ。先を歩いているオバさんが、トイレに行きたいそうだから、ゆっくり歩いて行ってね、っていておいたのよ」
「えっ!私、さっき…」
もうバレバレだったのか!いくらオバさんでも、恥ずかしい。
この夫婦を後にして、先を行くと、先ほどの男性に一瞬追いついた。きまり悪かった。
朝から、降ったりやんだりだったのが、いつの間にか本降りになっている。でも、汗びっしょりでどうせ濡れているから、レインコートなしで進んで行った。

雲行きが怪しくなってきた

大太鼓の雄大な風景

道しるべ。このまま行けばいいんだな
ここは志合谷。真っ暗なトンネルを歩かなければいけない。


この中、真っ暗なんだよ
くうみんは、山に行く時に持って行く、小型の懐中電灯を手に、トンネルの中に入って行った。下には水が溜まっている。上は下手すると頭を打ってしまう。
こんな真っ暗な道が200メートルくらい続いただろうか。後ろから、男性の声が聞こえる。二人らしい。一人っきりで暗いトンネルを歩くのは心細かった。どうしよう?変な所に迷い込んで出られなくなったら?
しかし、無事通過。しばらく歩いて後ろを振り返ると、あのトンネルの入り口が見えた。
「トンネルよ、さらばじゃ」

真っ暗トンネルの入り口

この日すれ違ったのは、男性のソロ、若い男女一組、そして十数人ほどの団体さん。個人ならキャンセルするところでも、雨でも団体だと、決行することが多い。くうみんがツアーを敬遠する理由の一つ。
結局この団体さんたちは、阿曽原温泉小屋までは行かずに引き返したらしい。阿曽原温泉小屋のブログに、「今日は3人だけ」とあった。
もうすぐ駅のはず。下りに差し掛かってかなり経つ。でも、なかなか駅が見えない。

前を行く男性
駅が見えた!!そう思ってから一度、すっ転んだ。

もうすぐだ!すってん!
本当は近くの温泉宿にでも行こうかと思ったのだが、ずぶ濡れでそんな心の余裕がない。なんちゃって富山山岳会の面々にも再会したが、この人達も余裕がなかったのだろう、せわしなく挨拶してそのまま別れた。
山の下り坂で一瞬同行することになった男性の情報によると、更衣室はないらしい。トイレで着替えた。
欅平からのトロッコ列車も、いつもなら景色がよく見える、屋根のない普通車に乗るのだが、今回ばかりは屋根のあるリラックス車両へ。一番高いが、ここと普通車両しか空いていない。雨なのに、普通車に乗るツワモノもいるが、今回はパス。

窓ガラス曇りっぱなし

きれいな所なんだけどな

リラックス車両。宇奈月駅にて

業務用トロッコ列車の時刻表
宇奈月駅から歩いて、富山地方鉄道・宇奈月温泉駅へと向かった。駅に着くと同時くらいに、列車が出発してしまった。日頃の行いのせいかしら?
しばしっ待っていると列車が来た。列車は、この天気だからか、空いている。

レトロなうちやま駅

レトロな倉庫
そこから新黒部駅下車、歩いて黒部宇奈月温泉駅から、北陸新幹線に乗る。
駅のコンビニで、ビールとサンドイッチを仕入れて、自由席に乗り込んだ。

新幹線の中ではこれ。は~、生き返る

正直、ほっとした。もう一本飲んじゃえ!
いつの間にか晴れている。山の天気は意地悪なものよのう。

なんだ、今頃晴れやがって!
新幹線を乗り換えて、在来線へ。浅間山が見えた。浅間山を見ながら通勤通学っていいな。

かなりピンボケ浅間山。これにて登山終了
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