なんてこった!な、船長主催のパーティー
船長主催のパーティーには、思いっきり着飾って行った。ダイヤの指輪にパールのネックレス。おじさんと一緒に買いに行ったフォーマルスーツ。
時間通りに行くと、いつもの広間は立錐の余地もない人、人、人…
その片隅に「船長と一緒に記念撮影」というコーナーがある。もちろん自分のカメラで撮るのは禁止。すべて船内カメラマンが撮影して、売り物にするのが目的。
タダで飲めるシャンパンを探すと、ようやっと見つかったが、人の壁に阻まれて手が届かない。近くの人が取ってくれた。
「ありがとうございます」
舞台に司会者が現れて、いよいよパーティーが始まる。司会者によると、15人のメンバーが出て来る。3回踊るので、45人の人にチャンスがある。メンバーと踊った人には抽選券を渡す。後で厳正なる抽選をして、素敵なプレゼントを差し上げます、だって。
なんと!それじゃダンスを踊らないと、パーティーに参加したことにならないじゃない!よっしゃ!ここはなんとしても踊らなくては!
くうみんは舞台に向かった。一回目はダメだった。しかし、2回目。一人のメンバーの腕をつかむことに成功した。
やった~~~!!
しかし、さあ、ダンスを!さあ、抽選券を!と思っていると、相手の男性は傍らにいる女性を指して、言った。
「いえ、私はこちらのレディーと踊ります」
そう、くうみんは振られたのだった。
「あら~、そうでしたの、オホホ」
そう言ってその場から離れた。その次に司会者が目に入った。こいつと踊ればいいんだ!くうみんは司会者の腕をつかむと無理やり踊り始めた。司会者はちょっと迷惑そうな顔をした。
嫌ならいいのよ!とにかく抽選券をちょうだい!!
しかし、司会者は抽選券の数に入っていなかったらしく、ついに抽選券は貰うことができなかった。
ガックリしながら、舞台から降りると、あれほどたくさんいた人がかなりいなくなっていた。まだパーティーが始まって20分も経っていないははずなのに。
皆、踊りを踊った人達だけのパーティーであると悟ったようだ。
しかし、舞台に上がったお得意さんは、日本人ばかりだった。他にもロシア人やイタリア人がいたのに、日本人もやるようになったのぅ。
どうしてくうみんは振られたのか?それは決まっている。踊るのは顔なじみ、お得意さんだけなのだ。
だから仕方ない。この船に乗ったのは初めてだし、もし逆の立場だったら、
「なんでなじみ客のこの私をスルーするのよ!」
と思うだろうから。
でも、振られるのって悲しい。思い切り着飾って行ったから、よけい悲しい。
くうみんは、パーティー会場を後にして、トボトボと自分の部屋に戻った。服を着替えて、ミニバーの中にある缶ビールを取り出して飲んだ。アサヒスーパードライ。日本の味だ。これも悪くない。
今は悲しみに浸るだけ。嫌なことは早く忘れよう。明日はいよいよウラジオストク。ロシアに上陸するのは初めてだ。
どんなところだろうな…
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その片隅に「船長と一緒に記念撮影」というコーナーがある。もちろん自分のカメラで撮るのは禁止。すべて船内カメラマンが撮影して、売り物にするのが目的。
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くうみんは舞台に向かった。一回目はダメだった。しかし、2回目。一人のメンバーの腕をつかむことに成功した。
やった~~~!!
しかし、さあ、ダンスを!さあ、抽選券を!と思っていると、相手の男性は傍らにいる女性を指して、言った。
「いえ、私はこちらのレディーと踊ります」
そう、くうみんは振られたのだった。
「あら~、そうでしたの、オホホ」
そう言ってその場から離れた。その次に司会者が目に入った。こいつと踊ればいいんだ!くうみんは司会者の腕をつかむと無理やり踊り始めた。司会者はちょっと迷惑そうな顔をした。
嫌ならいいのよ!とにかく抽選券をちょうだい!!
しかし、司会者は抽選券の数に入っていなかったらしく、ついに抽選券は貰うことができなかった。
ガックリしながら、舞台から降りると、あれほどたくさんいた人がかなりいなくなっていた。まだパーティーが始まって20分も経っていないははずなのに。
皆、踊りを踊った人達だけのパーティーであると悟ったようだ。
しかし、舞台に上がったお得意さんは、日本人ばかりだった。他にもロシア人やイタリア人がいたのに、日本人もやるようになったのぅ。
どうしてくうみんは振られたのか?それは決まっている。踊るのは顔なじみ、お得意さんだけなのだ。
だから仕方ない。この船に乗ったのは初めてだし、もし逆の立場だったら、
「なんでなじみ客のこの私をスルーするのよ!」
と思うだろうから。
でも、振られるのって悲しい。思い切り着飾って行ったから、よけい悲しい。
くうみんは、パーティー会場を後にして、トボトボと自分の部屋に戻った。服を着替えて、ミニバーの中にある缶ビールを取り出して飲んだ。アサヒスーパードライ。日本の味だ。これも悪くない。
今は悲しみに浸るだけ。嫌なことは早く忘れよう。明日はいよいよウラジオストク。ロシアに上陸するのは初めてだ。
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