人手不足のはずなのに
日本は大変な人手不足で、単純労働も外国人労働者に頼らざるを得ないという。
ふ~ん、なるほどね。それじゃこのくうみんは人手不足解消にちょっとは貢献しようじゃないの。
そう思ってここ2、3週間ほど、新聞の折り込み広告でパート先を探していた。
ちょっとは稼ぎたいという願望もあったが、何しろ独り暮らしで引っ越してまだ浅いので知っている人もほとんどいないし、スポーツジムなんかでもくうみんは、ジミにひっそりとしている。
信じられない人もいようが、くうみんは人見知りが激しく、割と無口だ。慣れればどうってことはないが、慣れるまでは野生動物と一緒でと警戒を欠かさない。酒が入れば、もちろんこの限りではない。
だから気が付いたら今日は誰とも話さなかったという日が多い。特に苦痛には感じないが、これって人間にとって不自然なのではないかと思う。
不自然なこと=健康によろしくないこと、そう考えたのですよ。働きに出れば、否が応でも人と話すし、気の合う人との出会いもあろう。
いろいろな仕事があった。特に資格の要らないもの、時給は安くていいから、休みの取りやすそうな仕事。
くうみんはその中で一つの会社に目を付けた。大手コンビニの食品を作っている工場だ。事務やお惣菜のラインの他に、面白そうな仕事があった。
野菜工場で野菜の収穫をしませんか?!
野菜の収穫!これは楽しそうだ!
きっと水耕栽培だろうから、泥で汚れることもあるまい。清潔な工場で人口の太陽を当てられてすくすくと育つ野菜たち…家庭菜園の好きなくうみんにピッタリ!
さっそく電話をかけて、面接の予約をした。先日街中のボックスで撮った、美白修正を施した写真を貼った履歴書を書いた。
その工場は、送迎バスがあるそうだが、まだ採用が決まった訳ではないくうみんはそのバスには乗れない。なので最寄り駅と工場近くに行くバスを聞いて行った。
電車は大都会神奈川にこんなのがあるのかと言うような単線だった。しかも、ドアは自動で開かない。ドア近くにあるボタンを押すとドアが開くようになっている。
こんな電車に乗ったのは四国の田舎町をおじさんと旅して以来である。
駅からバスと思ったのだが、事前の調べで歩いて行くしかないことが分かっていた。1時間に一本も走っていない。だから送迎バスなんだ。
くうみんは、工場までの道のりを20分かけて歩いた。
途中の横断歩道を、少しそれて横断しようとしたら、左折してきた車に当たりそうになった。
「キャ~!」
運転手がくうみんをにらみつける(ような気がした)。なんか幸先良くないと、このとき感じた。
すごい田舎だ。工業団地と言うのか、あっちにポツン、こっちにポツンと大きな工場が建っている。その間に畑や家が見える。ずっと向こうには山が連なっている。
目的の工場に着くとインターホンで来意を告げた。指示通りに進んでとある部屋に案内された。
面接してくれたのは40代と思しき男性で、食品工場らしく白い帽子とマスク、そして白い制服を着ている。
「志望動機は何ですか?」
「あの~、野菜工場なんて面白いなと思って」
くうみんは月火水の週3日、9時から4時までを希望した。
いろいろ話をしてからその男性が言った。
「それでは面接は以上です。今日は水曜日ですが、金曜日まで面接をしますので、お知らせはその後になります。土曜日に連絡がなかったら、その時は失礼ですが…」
「わかりました。ありがとうございました」
部屋の外には、くうみんより年上と思われるオバが立っていた。この人も面接に来たらしい。くうみんはその人ににっこりとして会釈をした。
さ~て。不足だというから、きっと採用されるわよね。これから週3回、早起きしなくちゃね。来年1月早々に旅行の計画を立てているけれど、これはキャンセルした方がいいわね。はじめのうちはおとなしくしていよう。
おせちはもう注文したけど、クリスマスのケーキはきっと社販があるに違いない。そこで買うことにしよう。
あの人みたいに白い帽子と白いマスクをかけて仕事をするんだろうな~。休み時間はみんなと連れ立って食堂へ。きっと安く食べられるだろうけど、お弁当を持って行くべきか?
などと夢は膨らむ一方だったのだが…
土曜日、待てど暮らせど連絡が来ない。
「どうしたんだろう?」
買い物に行く時も携帯を持って行き、帰ると留守電はないかと確認した。スポーツジムに行く時間になったので、出掛けたが、帰ると未練たらしく、すぐに携帯と留守電をチェックした。
連絡はなかった。不採用だったんだ。 思えば、面接に行く時、車に当たりそうになった、あれが何だか嫌な予感。私のこういう予感て結構、当たる。行く途中に交通機関にトラブルがあったら、合う予定の人とトラブルになったとか…
これからもブラック内職をするしかないのか?
来年早々の旅行も行くことになるかな。うれしいはずなのに何だか悲しい。
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ふ~ん、なるほどね。それじゃこのくうみんは人手不足解消にちょっとは貢献しようじゃないの。
そう思ってここ2、3週間ほど、新聞の折り込み広告でパート先を探していた。
ちょっとは稼ぎたいという願望もあったが、何しろ独り暮らしで引っ越してまだ浅いので知っている人もほとんどいないし、スポーツジムなんかでもくうみんは、ジミにひっそりとしている。
信じられない人もいようが、くうみんは人見知りが激しく、割と無口だ。慣れればどうってことはないが、慣れるまでは野生動物と一緒でと警戒を欠かさない。酒が入れば、もちろんこの限りではない。
だから気が付いたら今日は誰とも話さなかったという日が多い。特に苦痛には感じないが、これって人間にとって不自然なのではないかと思う。
不自然なこと=健康によろしくないこと、そう考えたのですよ。働きに出れば、否が応でも人と話すし、気の合う人との出会いもあろう。
いろいろな仕事があった。特に資格の要らないもの、時給は安くていいから、休みの取りやすそうな仕事。
くうみんはその中で一つの会社に目を付けた。大手コンビニの食品を作っている工場だ。事務やお惣菜のラインの他に、面白そうな仕事があった。
野菜工場で野菜の収穫をしませんか?!
野菜の収穫!これは楽しそうだ!
きっと水耕栽培だろうから、泥で汚れることもあるまい。清潔な工場で人口の太陽を当てられてすくすくと育つ野菜たち…家庭菜園の好きなくうみんにピッタリ!
さっそく電話をかけて、面接の予約をした。先日街中のボックスで撮った、美白修正を施した写真を貼った履歴書を書いた。
その工場は、送迎バスがあるそうだが、まだ採用が決まった訳ではないくうみんはそのバスには乗れない。なので最寄り駅と工場近くに行くバスを聞いて行った。
電車は大都会神奈川にこんなのがあるのかと言うような単線だった。しかも、ドアは自動で開かない。ドア近くにあるボタンを押すとドアが開くようになっている。
こんな電車に乗ったのは四国の田舎町をおじさんと旅して以来である。
駅からバスと思ったのだが、事前の調べで歩いて行くしかないことが分かっていた。1時間に一本も走っていない。だから送迎バスなんだ。
くうみんは、工場までの道のりを20分かけて歩いた。
途中の横断歩道を、少しそれて横断しようとしたら、左折してきた車に当たりそうになった。
「キャ~!」
運転手がくうみんをにらみつける(ような気がした)。なんか幸先良くないと、このとき感じた。
すごい田舎だ。工業団地と言うのか、あっちにポツン、こっちにポツンと大きな工場が建っている。その間に畑や家が見える。ずっと向こうには山が連なっている。
目的の工場に着くとインターホンで来意を告げた。指示通りに進んでとある部屋に案内された。
面接してくれたのは40代と思しき男性で、食品工場らしく白い帽子とマスク、そして白い制服を着ている。
「志望動機は何ですか?」
「あの~、野菜工場なんて面白いなと思って」
くうみんは月火水の週3日、9時から4時までを希望した。
いろいろ話をしてからその男性が言った。
「それでは面接は以上です。今日は水曜日ですが、金曜日まで面接をしますので、お知らせはその後になります。土曜日に連絡がなかったら、その時は失礼ですが…」
「わかりました。ありがとうございました」
部屋の外には、くうみんより年上と思われるオバが立っていた。この人も面接に来たらしい。くうみんはその人ににっこりとして会釈をした。
さ~て。不足だというから、きっと採用されるわよね。これから週3回、早起きしなくちゃね。来年1月早々に旅行の計画を立てているけれど、これはキャンセルした方がいいわね。はじめのうちはおとなしくしていよう。
おせちはもう注文したけど、クリスマスのケーキはきっと社販があるに違いない。そこで買うことにしよう。
あの人みたいに白い帽子と白いマスクをかけて仕事をするんだろうな~。休み時間はみんなと連れ立って食堂へ。きっと安く食べられるだろうけど、お弁当を持って行くべきか?
などと夢は膨らむ一方だったのだが…
土曜日、待てど暮らせど連絡が来ない。
「どうしたんだろう?」
買い物に行く時も携帯を持って行き、帰ると留守電はないかと確認した。スポーツジムに行く時間になったので、出掛けたが、帰ると未練たらしく、すぐに携帯と留守電をチェックした。
連絡はなかった。不採用だったんだ。 思えば、面接に行く時、車に当たりそうになった、あれが何だか嫌な予感。私のこういう予感て結構、当たる。行く途中に交通機関にトラブルがあったら、合う予定の人とトラブルになったとか…
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