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スルタンアフメット地区で会った若いイケメンと二人のオヤジ その続き

オヤジはくうみんに聞いてきた。
「お子さんはいるんですか?」
「いいえ、いません」
「そうですか、子供は2人いるけど、大変よ」
 など、世間話を始めた。そしてキリンのことを話し出した。
「本当にいいものは次世代に残すことができます。キリン、見てください」

 そう言って、玄関マットくらいの大きさのじゅうたんのようなものを取り出した。
「このキリン、いいものです」
 キリンって、動物のキリンじゃなくって、キリム、絨毯のようなものだったのね!キリムを「かいている」って、意味がイマイチ分からないけど、「キリムを売っている」と言うことらしい。

 くうみんは、絨毯やらなんやら、まったく興味がない。家の床はすべてフローリングだが、掃除が簡単なので何も敷く気はない。
「すみません!私そう言ったものには全く興味がないんです!お役に立てなくて申し訳ありません!」
 そう言ってくうみんはポーチから日本から持ってきたハイチュウを出した。

 海外では、人から親切にされることも多い。そんな時、ちょっとしたお土産をあげることにしている。今回はブラックサンダーとハイチュウを持ってきた。ブラックサンダーもハイチュウも、外国人に人気なのだそうだ。
「こんなに親切にしてくださったのに、何もできなくて申し訳ありません。これ、お礼に受け取ってください」
 おやじは首を横に振った。
「いいえ、親切なんてそんなことは。これは田舎の子供たちにあげてください。きっと喜びます」
「そうですか、すみません」

 くうみんは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「本当にお役に立てなくて、ごめんなさい!」
 そう言って、その店を後にしたのだった。

 くうみんは近くの店でビールを買った。500ml2本で日本円換算で600円ちょっと。日本とほぼ同じくらいだ ろうか。アルコールを買うと、黒いレジ袋に入れてくれる。
 これはみんなに分からないよう、こっそり、と言う意味らしいが、黒いレジ袋を持っている人間は酒を買ったとバレバレではないか。

 今日の夕食は部屋で、昨日の料理の残りをテイクアウトしたものを食べることにした。
 シャワーを浴び、まずビールを飲んだ。安宿なので、バスタブはない。そして冷蔵庫にしまってあるバカ高くておいしくない料理を食べた。

 明日は、イスパルタに移動の日だ。イスタンブール空港へのバス停は確認してきた。
 くうみんは、ビールを飲みながら、「地球の歩き方」をパラパラとめくった。

「読者への注意」と言う項目があった。
何だろう?

 某男性からの投稿
 ブルーモスクの近辺で、日本語で話しかけてくる40代と思われる男性がいる。見どころや危険な場所を教えてくれるなど、信用させてからうちの店に来てくださいと言う。付いて行ったところ、これが絨毯屋。
「トルコ式の歓迎のしるしに、チャイをごちそうしましょう」
 そう言って、チャイを出された…

 編集部から
 品質の良くないものを売りつけられたという報告もあった。女性の場合は、性的な暴行を受けることも。絶対に付いて行ってはダメ。

 これは2019~2020年版の地球の歩き方だ。あのオヤジは52歳だと言っていた。この投稿をした人は、2019年以前に会って、「40代くらい」と言うことは、くううみんがついて行ったあのオヤジである可能性がある。「トルコ式の歓迎としてチャイを」と言ったのも同じだし、日本語を話せるトルコ人など、そんなにいないだろうから、もしかして同一人物…

 あのオヤジは誤解されている!!

 くうみんは思った。
 またイスタンブールに戻るんだから、この地球の歩き方を見せて、
「あなたが親切でしたことが、こんな風に誤解されています!」
 と、教えてあげた方がいいかも!そうだ、教えてあげよう!

 直後はそう思ったくうみんであったが、時がたつにつれて、
「私が間違っているかも」
 と思うようになった。

 世間話をしていると思っていたが、
「仕事はなにをしているのか?」
 などと言うのは、どれくらい金を持っているかの判断材料かも知れない。

 出してくれたお茶に、睡眠薬でも入っていたら、えらいこっちゃになる…まあ、この年ならそんなこともないか。

 またイスタンブールに戻ったときは、もうスルタンアフメット地区に来るのはやめておこう。彼らがしたことが親切心からだとしても(まだ心の片隅ではこんなことを考えていた)、疑心暗鬼になってしまった今では、どんな態度をとればいいか、わからない。

 今までも、危ないシチュエーションに陥ったことが何回かある。まあ、お暇だったら…

 危ないシチュエーション

 それでも危険を回避できたのは、神仏の加護か、あまりにも無知無垢だと、かえって安全であるということなのか。

 わたし、あんまり変わっとらんのう。

 くうみんは、最後のブルーモスクのライトアップを眺めてから、眠りについた。



部屋から見えるブルーモスク
 ブルーモスク、さよなら~




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 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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