おじさん 合格してからの日々 悲喜こもごも
ずっと今までの事務所に勤めるという人もいるが、おじさんの場合はいずれは独立するつもりだったようだ。
事務所をどうするか、どこかのワンルームでも借りようと思ったが、そういうところは住宅用であって、事務所用ではない。結局自宅を事務所にすることにした。
おじさんが独立する頃は、ちょうど素人でもパソコンで経理ができるようになった頃だったので、顧問先を見つけるのが大変になりつつあった。
それに税理士は営業をしてはいけないという規則があった。なかったとしても多分おじさんは営業のセンスがないので、しなかったんじゃないかと思う。
昔はそれでも、客の方から来たという。そんな話は今は昔。
年収は、数年して、普通の会社員と同じかそれを下回るくらい。昔は2千万、3千万プレィヤーがごろごろいたらしいが、ほんの一握りになっていく。
年寄りにとっては、税理士と言うのは雲の上の人と思われている。
くうみん母も、それから態度が一変した。
「ま~~~!おじさん、いらっしゃい!」
「ビールを出しますね!」
よくこんなに手のひらを返したようになれるもんだとあきれるくらい、態度が変わった。
逆に困ったのはおじさんの方の親。
おじさんはいいかっこしようと思うのか、心配させないようにするためか、儲かって仕方ないようなことを言う。くうみんも、
「いい夢を見てね、お義父さんお義母さん」
くらいに考えていた。
それが変な方に行ってしまうことに…
昔の人と言うのは、成功した子供には、見返りを求めるもののようだ。
「旅行に行きたいから100万円貸してくれ」
などと言って来たこともある。
義母の長寿祝いに、みんなで食事会をしたときは、お姉さん達にはお礼だと言って、何やら分厚い封筒を渡していた。
「お母さん、ありがとう」
口々に言うお姉さんたち。
うちへのお礼は、クッキーひと箱だった。忘れもしない、ステラおばさんのクッキー。中に札束が入っているのを期待して、紙袋をを逆さにしたり、包装紙をはがして調べたが、本当にクッキーだけだった。
お姉さん方に渡した封筒の中身は、調べるべくもないが、長い手紙ではなく、万札であっただろうと推測した。
「おじさん、うちにはクッキーひと箱で、お姉さん達には分厚い封筒だよ。中に入っているのは長い手紙なんかじゃないよね」
「えっ」
「おじさんがすごい儲かってるようなことを言うから、こんなことになるんだよ」
わざわざおじさんとくうみんのいる前で、お姉さんたちにお金を渡したというのも、気になるところだ。何か意図があるような気もした。
その後、おじさんの実家とは、おじさんとくうみんがケチだと、いろいろもめることが多くなったので、下のお姉さんに事情を説明して、仲裁に入ってもらうこともあった。
なんだか難しいねえ。
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