新春温泉旅行は波乱含み その三 老人問題勃発 私は冷たいのだろうか?
三日目の朝。窓の外を見るときれいな朝焼けだった。
「わあ、きれい」
きれいな朝焼けは、分単位でオレンジ色がどんどん薄くなっていく。
明日はもっと早起きしよう。朝焼けがまた、見られるかもしれない。
くうみんは朝ぶろに入って、ビールを飲んだ。至福のひと時。そして朝食。
ふと、スマホの画面を見た。電話がかかってきた記録がある。くうみんが風呂に入っている時間だ。
何だろう、と思ってみると、母からだった。どうしたんだろう?
電話をかけてみると、母が出た。
「どうしたの?」
「今、他の人に代わってもらうから」
聞いたことのない若い女性の声がした。
「もしもし、私、救急隊の者です。今からお母様を病院に運びますが、すぐに来られるでしょうか?」
「えっ、いま旅先なので、すぐには無理です」
「そうですか、それでは今から救急搬送します。病院は〇〇病院です」
えっ、救急搬送?
その時真っ先に思ったのは、母を心配する気持ちではなかった。
バカヤロ~~~!せっかく命の洗濯をしていたのに!やっと一息ついたと思ったのに!何が最後の子不幸だ!!まだまだ続くじゃねえか!!
母じゃなくて、おじさんだったらどう思ったかな?やっぱりくうみんは、母に対して冷たいのか?
気持ちとしてはバカヤロウだが、ここでのんびりしている場合ではなくなった。くうみんはフロントに電話をかけて、急遽チェックアウトすると伝えた。
「明日の分の料金は返金できませんが…」
「規定であるならやむを得ません」
送迎のバスに乗り、特急列車に乗った。
こんな時、他に頼れる人がいたら…
「私今、旅先!今度だけお願い!!」
って言えるんだけどなあ。
おじさんのお姉さんたちは、
「いつでも手伝うわよ」
と言ってくれている。だけど、この場合、母が遠慮するだろう。やっぱり義理の仲では、難しい。
病院には1時半ごろ着いた。
「今は面会ができないんですよ」
面会ではなく、朝、救急搬送されたという連絡を受けたので、どういう状況なのか、説明を受けたい。いきさつが全く分からない、と言うと、少し待った後、病棟を教えてくれた。
看護師の説明によると、大腿骨を骨折したらしい。
パジャマや、病院で使うものはすべて病院で買ってもらったり、レンタルで済ませることにした。母が持ってきた貴重品を預かって、帰った。翌日は母の部屋を訪れて、掃除をして、ごみを出して、冷蔵庫の中の腐りやすいものを持ち帰り…
何日かは個室だったので、毎日のように電話をした。すると、小出しに必要なものを言ってくる。
ある日 「老眼鏡を持ってきて」
その翌日 「布団乾燥機の電源を抜いたか、確認して」
そのまた翌日 「新聞を持ってきて欲しい」
いっぺんに言ってよ!と切れたこともあるが、歳寄りじゃ仕方ないと思いなおした。
今は、大部屋になって携帯が使えなくなったようなので、連絡ができなくなった。しかし、看護師経由で欲しいものを伝えてくることもある。
「2千円欲しいそうです。私たち看護師がお金の受け渡しをするのは禁じられていますので、手術当日にでも、お持ちくださいますか?」
「えっ、2千円?だって、本人ベッドの周りくらいしか、動けないんでしょ?」
「はい、そうなんです」
頭が混乱しているのか?大部屋で賭博でもして、2千円負けたのか?
手術に向かって、主治医の話を聞きに行ったり、手術の立ち合いをしたり…他に何があるんだろう?
とにかく、これからも駆け回る日々が続くことになった。
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「わあ、きれい」
きれいな朝焼けは、分単位でオレンジ色がどんどん薄くなっていく。
明日はもっと早起きしよう。朝焼けがまた、見られるかもしれない。
くうみんは朝ぶろに入って、ビールを飲んだ。至福のひと時。そして朝食。
ふと、スマホの画面を見た。電話がかかってきた記録がある。くうみんが風呂に入っている時間だ。
何だろう、と思ってみると、母からだった。どうしたんだろう?
電話をかけてみると、母が出た。
「どうしたの?」
「今、他の人に代わってもらうから」
聞いたことのない若い女性の声がした。
「もしもし、私、救急隊の者です。今からお母様を病院に運びますが、すぐに来られるでしょうか?」
「えっ、いま旅先なので、すぐには無理です」
「そうですか、それでは今から救急搬送します。病院は〇〇病院です」
えっ、救急搬送?
その時真っ先に思ったのは、母を心配する気持ちではなかった。
バカヤロ~~~!せっかく命の洗濯をしていたのに!やっと一息ついたと思ったのに!何が最後の子不幸だ!!まだまだ続くじゃねえか!!
母じゃなくて、おじさんだったらどう思ったかな?やっぱりくうみんは、母に対して冷たいのか?
気持ちとしてはバカヤロウだが、ここでのんびりしている場合ではなくなった。くうみんはフロントに電話をかけて、急遽チェックアウトすると伝えた。
「明日の分の料金は返金できませんが…」
「規定であるならやむを得ません」
送迎のバスに乗り、特急列車に乗った。
こんな時、他に頼れる人がいたら…
「私今、旅先!今度だけお願い!!」
って言えるんだけどなあ。
おじさんのお姉さんたちは、
「いつでも手伝うわよ」
と言ってくれている。だけど、この場合、母が遠慮するだろう。やっぱり義理の仲では、難しい。
病院には1時半ごろ着いた。
「今は面会ができないんですよ」
面会ではなく、朝、救急搬送されたという連絡を受けたので、どういう状況なのか、説明を受けたい。いきさつが全く分からない、と言うと、少し待った後、病棟を教えてくれた。
看護師の説明によると、大腿骨を骨折したらしい。
パジャマや、病院で使うものはすべて病院で買ってもらったり、レンタルで済ませることにした。母が持ってきた貴重品を預かって、帰った。翌日は母の部屋を訪れて、掃除をして、ごみを出して、冷蔵庫の中の腐りやすいものを持ち帰り…
何日かは個室だったので、毎日のように電話をした。すると、小出しに必要なものを言ってくる。
ある日 「老眼鏡を持ってきて」
その翌日 「布団乾燥機の電源を抜いたか、確認して」
そのまた翌日 「新聞を持ってきて欲しい」
いっぺんに言ってよ!と切れたこともあるが、歳寄りじゃ仕方ないと思いなおした。
今は、大部屋になって携帯が使えなくなったようなので、連絡ができなくなった。しかし、看護師経由で欲しいものを伝えてくることもある。
「2千円欲しいそうです。私たち看護師がお金の受け渡しをするのは禁じられていますので、手術当日にでも、お持ちくださいますか?」
「えっ、2千円?だって、本人ベッドの周りくらいしか、動けないんでしょ?」
「はい、そうなんです」
頭が混乱しているのか?大部屋で賭博でもして、2千円負けたのか?
手術に向かって、主治医の話を聞きに行ったり、手術の立ち合いをしたり…他に何があるんだろう?
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