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みんなすごいと言われたい

 くうみんはこのところ、児童公園に時々出没している。お目当ては雲梯。そこで上半身のトレーニングである懸垂を行う。

 フィットネスジムにも懸垂台はあるのだが、チビのくうみんは指先すら届かない。飛び上がってバーをつかむという技は、怪我しそうで怖くてできないし、そこは筋肉モリモリのお兄さんの定位置だ。どうもくうみんには文字通り敷居が高過ぎる。

 ということでランニングの行き帰りに児童公園に向かうのだが、当然のことながら先客がいることもある。そういう時は遠慮していたが、最近は、図々しくなった。

「こんにちは。おばちゃんにも使わせてね」
 そう言って、幼稚園くらいの子供と混じって、懸垂の練習をする。

 懸垂の練習は長い時間、できるものではない。せいぜい5分程度すると、力が出なくなってしまう。これがマラソンと違う所だ。

 くうみんとしては大まじめにトレーニングしているつもりだが、子供からすればこんなところで遊んでいる怪しいおばちゃん…と見えるかも知れぬ…

 疲れで力が出なくなると、子供を褒めることにした。雲梯をひらりひらりと渡る子供に、声をかける。
「お~!すごいな~!身が軽いね~」
「おサルさんみたいだな~」

 すると、どの子も、ものすご~くうれしそうな顔をする。
「ねえ、おばちゃん、これはどう?!」
「こんなことできるよ、見て!」
「どんなことができるの?見せてよ!」
 得意技を披露する子供達。
「見事じゃ!」
 拍手するくうみん。 

 そう言えば、たまに公園で見かける光景。

 雲梯や鉄棒でスタンバイする子供。
「ねえ、お父さん!見て!今からやって見せるから!」
「ねえ、学校でこんなことできるようになったんだよ!見て見て!」

 それなのにお父さんはスマホのゲームに夢中。
「う~ん、わかった、やってみろ」
 と言いつつも、目はスマホの画面。

 口をとがらせる子供。

 そうか、子供はすごいって言われたいんだ。誰かから、認められたいんだ。

 一日一善。これも一つの善行と言うものだ。なので、子供がいても遠慮することなく、トレーニングに励むことにした。その後、必ず、「すごい!」と褒めそやすのは、言うまでもない。

 そのかいあってか、逆手で、手の幅を思いっきり狭くして、足をばたつかせながらであれば、たった2回だが、懸垂できるようになった。

 懸垂で使う筋肉は主に背筋だが、手を逆手にすると腕の力も使えるので、順手よりも簡単だそうだ。手の幅は狭い方が上がりやすいので、初心者はまずこうして、徐々に手の幅を広くして、次に順手にチャレンジするのがいいらしい。

 ある日、ランニングの行きに、いつもの児童公園に向かった。そこには小学校2、3年くらいの男子が3人ほどいた。いつもは幼稚園くらいの子ばかりだが、この日はちょっとお兄さん。
 
「こんにちは。おばちゃんにも使わせてね」

 いつものように挨拶してから、初心者向け懸垂を始めた。
「むぉお~…」

 やっとこさ2回できた。

 すると、小学生たちはくうみんを尊敬の目で見たのだった。
「すげえ…」

「オホホ、おばちゃんすごいかい?」
「うん」
「君たちも練習すればできるようになるよ」

 くうみんは得意になって、その公園を後にし、ランニングに向かったのだった。

 あれ、今日うれしくなったのはくうみんの方。褒めてくれたのはあの小学生たち。

 なるほどね~、子供だけじゃなく大人も、みんなすごいと言われたいのだわ。
 





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 年齢一億歳。
 
 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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