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富士山登った。そして隣のハデハデ女子は?

 「時間になったら起こすので、時計のアラームはしないでください」と、山小屋の人の指示。しかし、その起こし方があまりにも奥ゆかしくて、くうみんには気づけなかった。

 「元祖室」の起こし方は、わかりやすかった。
「皆さん、4時半です!起きてください!」
 人を起こすときはこうでなきゃ。

 みんながもぞもぞしているので、もう起きようと支度を始めた。もうすでに出た人もいれば、支度をしている人もいる。朝ごはんのお稲荷さんを食べて外に出た。
 2時15分、登山開始。

 途中の山小屋
 途中の山小屋

夜中の3時ごろ
 この賑わいが、夜中の3時ごろと、誰が思うだろうか?上に続く光は登山者のヘッドライト

 風もなく、天気もよさそう。歩いているうちに次第に渋滞がひどくなった。なかなか進まない。いつもなら、じれったく思う所だが、空気が薄くて、息が苦しい。登りの角度も急なので、休み休み行けるのはかえって助かる。

 どこが頂上なのか?暗くてよくわからない。ヘッドライトの光がずらっと並んで、時折くうみんの顔に、もろに当たる。まぶしい。

「あの、赤い光が点滅している所が頂上だよ」
 誰かが、話している。そうか、あそこが頂上か。まだ先に見える。

「頂上まであと30分を切りました。頑張ってください」
 誘導の人が教えてくれる。
「そこ、足を止めないで~」
 疲れて立ち止まる人がいたらしい。でも、その気持ち、よく分かる。

 何でこんなバカなことをしているんだろう。もうやめよう、二度とこんなことはするまい。 
 そう思いつつ上って行く。

「あと、5分で山頂です。もうすぐです」

 あともうちょっと…ああ、赤い光がすぐそばだ!

 やった~!山頂だ~!!

 こんなに苦しい山行は初めてだ。ちいさく、「ばんざ~い」と三唱した。
 時計を見ると、四時五〇分。8合目から、2時間35分で登頂したんだから、まあまあか。

 添乗員が言っていたことを思い出した。
「お鉢巡りをするときは、ご来光を待たずに行かないとバスに間に合いません。先にお鉢巡りに出発して、その途中でご来光を見てください。下山するまで、4時間かかります。6時には下山開始するように。そうすれば、10時には5合目に着きますから。そうでないと11時発のバスに間に合いません」

ご来光だ!
 もうすぐご来光

日本一高い所で
 うわぁ~い!

ありがたや!
 思わず拝んでしまう
 
浅間神社苗
 頂上の証拠写真

浅間神社の鳥居

高く上がった太陽

お釜です
 富士山のお釜

雲よ

雲を見つつ下山開始
 
素晴らしいでしょ!

頂上からの河口湖

 お鉢巡りは1時間半から2時間かかる。行きたいけど、ちょっと時間が足りない。
 くうみんは行けるところまで行くと、引き返して、6時に下山を開始した。

 ちょっと残念。ここまで来たらお鉢巡りしたかったな

 岩が崩れて小石になったような、ザラザラな道をくうみんは降りて行った。ストックを長くして持って、体のバランスを取りながら下って行く。
 みんなそろそろと歩いているのはなぜかと思ったが、滑って怖いからのようだ。

 くうみんはその滑りを利用して、ズザザザ~~~と進んでいく。運動神経のいい若い男性の中には、ストックなしでこの技を使う人もいるが、くうみんは、運動神経はあまり良くないオバさんなのでストックが必要。

 オ~ッホッホッホ!!

ざらざらの道
 歩くと靴の下の砂が動くざらざら道

下山する人々

車が来たぞ~
 こういう特殊車両なら、頂上まで行くらしい
 
どうもすみません

靴が緑に見えたけど
 平地ではグレーだけど、7合目付近では緑色に見えた。ここは7合目。写真ではどう見えるかな?

性懲りもなく雲海

まだまだ先
 
 くうみんはリズムよく降りて行った。昨日の疲れが残って、若干スピードは落ちたものの、調子良く5合目に到着した。

 時計を見ると、8時半。2時間30分で着いてしまった。何だよ。バスの出発まで、2時間30分もある。それにこれだけ時間があるんだったら、お鉢巡りをすればよかった。

 やれやれと思いながら、休憩所にある、到着客リストの自分の名前の所に丸を付けた。隣の子の名前を見ると、日本人ではなかった。モンゴルっぽい名前だ。到着のしるしの、丸がついていない。

 休憩室に入ると、登山の装備を外して、片づけられるものは片づけた。ふと見ると、あのハデハデ女子がいるではないか。くうみんが支度をしているうちに、その女子は、レンタルの袋を手にして、外に出て行った。

 数分後、くうみんも外に出た。するとハデハデ女子がいた。
「到着しているしるしに、あなたの名前に丸を付けるのよ」
 くうみんが教えた。
「モンゴルの人?」
「そうです」

 ひらがなとカタカナは読めるけど、漢字が読めないらしい。「雲上閣」という所を指さして、問うてきた。
「レンタルセットは、どこに返せばいいんですか?」
「この休憩所に返せばいいのよ」

 近くにいたお店の人に聞いてみた。
「お兄さん、レンタル品はどこに返せばいいの?」
「奥にお願いします」
「奥だって」
「ありがとうございます」

 なんだかほっとしたような顔をしていた。

 この後、スーパー銭湯でお風呂に入り、昼食を食べてから富士山神社に行って、帰路に就く。

 昼ご飯はB級グルメ
 B級グルメの昼食。静岡おでん、富士宮焼きそば、サラダ、ミートボールなど

鳥居の横に富士山。見えるかな?
 鳥居と石の塔の間に富士山が見えるのが分かるかな?

判る?
 わかるかな?

今日の池は明るい
 水は相変わらず清らか。今回は抜け目なく、ペットボトルを用意して、水場で水を汲んだ

 道中、このハデハデ女子と少し話をした。何をしているのかな~と思ったが、無難に「学生さん?」と聞いてみた。
 はい、そうです。
 
 若い女の子なら、髪も染めてみたいだろうし、ジェルネイルもやってみたいだろう…う~ん、学生と言ってもいろいろ…まあ、一人で富士山のツアーになんか来るんだから、芯が一本通っている子なんだろう。

「初めてだからと思って、ガイド付きにしたけど、今度はガイドなしでも行けそうです」
「そうよね。今度はお友達も誘うといいわ」 
 
 彼女は、元の短パン、ヒールの高いサンダル姿になっていた。なぜか足元にスーパーのレジ袋が一つ。
 他の荷物は?きっと預けてあるのよね~。

 若干の渋滞はあったが、バスは無事、新宿に到着した。隣の女子は足元のレジ袋を手にすると、バスの前の方に歩み出た。その後にくっついてくうみんもバスの外に向かった。
 預けたリュックを受け取ろうと、くうみんはバスの横腹付近に立った。なかなか荷物が出て来ない。

 あの、ハデハデモンゴル女子は?荷物を預けているはず。

 しかし、くうみんは驚きの光景を目にした。あのハデハデモンゴル女子は、レジ袋一つ持ってそのままバスを後にしていた。

 ひょっとして、ポーチ一つだけの手ぶらで来たの?!

 山道具で借りられるものは全部レンタル、借りられないものは買えばいい…

 忘れ物はないかと、余計なものまで持って行きがちな農耕民族日本人と、パオの家で、旅から旅が当たり前の遊牧民族モンゴル人では、考え方がこんなに違うものなのか?

 くうみんは、ハデハデモンゴル女子の後ろ姿を、見えなくなるまで、点にはなった目で追った。



 




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 年齢一億歳。
 
 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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