旅行記事の途中ですが、成人式だったんですね。そう言えば私のトホホな成人式
15日が成人式だとばかり思っていたら、8日が成人式だったんですね。このことに気付いたのは、なんとあの、ハレノヒ事件があったからでした。
なんですか、早く払えば値引きするとか言ってお金を振り込ませたとか、着付けだけを頼もうとして着物を預けたらそのままずらかったとか…
ひどい話です。たぶん、本人だけでなく、親御さんも悲しみと、怒り心頭に達していることでしょう。気の毒に思った人々が何とか救済措置をかけあってくれているようですが、いい解決法が見つかるようにお祈りします。
ずらかった社長には天誅を下して欲しいものです。
さて、思い出すのは自分の成人式のことです。私は着物を着たいとは思っていませんでした。何も考えずに、まあ、何かおいしいものでも食べさせてくれたらそれでいいと思っていました。
しかし、ある日母が言いました。
「もうすぐ成人式だから、着物か海外旅行か、どちらかプレゼントしてあげる。どっちがいい?」
くうみんは二つ返事で答えました。
「海外旅行!!」
友達は結構海外旅行に行っていて、それを貧乏人のくうみんは羨ましいと思っていたのです。もちろんバイトはしていましたが、それらはすべて大学へ行くための交通費や、昼食代、そして小遣いなどに消えてしまって、旅行どころの騒ぎではありません。行きたいな~、海外!!ヨーロッパがいいかな。
しかし、母の思惑はそうではなかったのです。
「くうみん、よく考えなさい。着物は後に残るけど、海外旅行は行ったらそれっきりよ」
「でも旅行の方がいい」
「もうちょっと考えなさい」
もうちょっと考えろも何も、私の中で考えは決まっています。着物なんか着たくもありません。
しかし、母は毎日、顔を合わせるたびに言うのです。
「どう?考えた?」
「うん、海外旅行がいい」
「それじゃ、もうちょっと考えなさい」
「…」
そしてある日、母にまた尋ねられたくうみんはとうとう、言ってはならないことをつぶやいてしまったのです。
「どう?考えた?」
「…着物がいいのかな?」
「そうよ!!着物よ!着物にしなさい!!さあ、呉服屋に行くわよ!!」
くうみんは母の運転する車にそのまま乗せられ、呉服屋に連れていかれてしまったのです。
「成人式の着物が欲しいんですけどっ!」
「それはおめでとうございます。お嬢さんだったら、こんなものはいかがでしょうか?」
着物を着た上品な店の人は3点ほどの生地を持ってきました。
「どれがいいの?!早く選びなさいよ!」
くうみんは何が何だかわからないまま、
「こ、これがいい、のかな?」
と、一点の生地を、適当に指さしたのでした。
「海外旅行と着物とどっちがいいかって聞いたら、着物がいいなんて言うんですよ!!」
店の人はうれしそうに微笑みました。
「女の子はやっぱりねえ…」
そう、選ばせてくれると言うのは言葉の上だけで、実はくうみんに選択権はなかったのです。
母には、大変期待するものがあったようです。
うちの娘には超豪華な着物を着せて、皆に見せびらかしたい!!
こんなブスに着物…
成人式当日はその着物を着て、母の知り合いを回って歩きました。親戚付き合いはなかったので、親戚に会うことはありませんでしたが。
成人式と言うものに出席はしませんでした。成人式の招待状は来ていましたが、あっちこっち引っ越ししていたので、呼ばれた自治体には、一人の友だちもいなかったからです。
当時、別々に暮らしていた父の所にも「見せに行きなさい」と母が言うので、疲れた体に鞭打って父のもとに行きました。
普段と違う格好だったからか、かわいがっていた飼い犬のコロが、
「ワン!ワン!」
とほえました。でも、「あ、くうみんちゃんだ」と、すぐにわかってしっぽを振ってくれました。いつものように飛びつこうとするので、
「飛びついちゃダメ!」
と言って、家の中に入りました。
家の中にはいると、父は案の定いびきをかいて寝ていました。この人は寝ているか、起きているときはご飯を食べているかトイレに行っている、それくらい良く寝ている人でした。
「お父さん」
くうみんが声をかけると、いびきが一瞬止まりました。
「…ん?」
「着物、着たんだけど…」
父はこちらを見もしないで言いました。
「ちょっとここら辺、片づけてくれ」
父は寝返りを打つと、またそのまま布団に潜り込みました。
くうみんは晴れ着を着たまま、脱ぎっぱなしの服や、テーブルの上の食器を片付けました。あらかた片付くと、物音で眠れなかったらしい父がようやく起きて来て、くうみんに尋ねました。
「その着物、いくらくらいするんだ?」
「知らない」
それから少しお茶を飲んで話をして、何事もなく、母のもとに帰ったのでした。
ちなみに妹も、着物か海外旅行かどちらかを選べ、と言われて、
「金をくれ」
と言って、さんざんに怒られ、私の着物を着せられて終わりでした。
「あんな超豪華な着物を買ってもらえるくうみんは幸せ者なのよ。普通はそんなもの、自分で買うものなんだから」
西太后陛下は今でもそう言います。買ってくれたあの着物が今どこにあるのか知りません。そして、くうみんが自分の金で買うなら、絶対に着物以外の何かであると断言します。
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なんですか、早く払えば値引きするとか言ってお金を振り込ませたとか、着付けだけを頼もうとして着物を預けたらそのままずらかったとか…
ひどい話です。たぶん、本人だけでなく、親御さんも悲しみと、怒り心頭に達していることでしょう。気の毒に思った人々が何とか救済措置をかけあってくれているようですが、いい解決法が見つかるようにお祈りします。
ずらかった社長には天誅を下して欲しいものです。
さて、思い出すのは自分の成人式のことです。私は着物を着たいとは思っていませんでした。何も考えずに、まあ、何かおいしいものでも食べさせてくれたらそれでいいと思っていました。
しかし、ある日母が言いました。
「もうすぐ成人式だから、着物か海外旅行か、どちらかプレゼントしてあげる。どっちがいい?」
くうみんは二つ返事で答えました。
「海外旅行!!」
友達は結構海外旅行に行っていて、それを貧乏人のくうみんは羨ましいと思っていたのです。もちろんバイトはしていましたが、それらはすべて大学へ行くための交通費や、昼食代、そして小遣いなどに消えてしまって、旅行どころの騒ぎではありません。行きたいな~、海外!!ヨーロッパがいいかな。
しかし、母の思惑はそうではなかったのです。
「くうみん、よく考えなさい。着物は後に残るけど、海外旅行は行ったらそれっきりよ」
「でも旅行の方がいい」
「もうちょっと考えなさい」
もうちょっと考えろも何も、私の中で考えは決まっています。着物なんか着たくもありません。
しかし、母は毎日、顔を合わせるたびに言うのです。
「どう?考えた?」
「うん、海外旅行がいい」
「それじゃ、もうちょっと考えなさい」
「…」
そしてある日、母にまた尋ねられたくうみんはとうとう、言ってはならないことをつぶやいてしまったのです。
「どう?考えた?」
「…着物がいいのかな?」
「そうよ!!着物よ!着物にしなさい!!さあ、呉服屋に行くわよ!!」
くうみんは母の運転する車にそのまま乗せられ、呉服屋に連れていかれてしまったのです。
「成人式の着物が欲しいんですけどっ!」
「それはおめでとうございます。お嬢さんだったら、こんなものはいかがでしょうか?」
着物を着た上品な店の人は3点ほどの生地を持ってきました。
「どれがいいの?!早く選びなさいよ!」
くうみんは何が何だかわからないまま、
「こ、これがいい、のかな?」
と、一点の生地を、適当に指さしたのでした。
「海外旅行と着物とどっちがいいかって聞いたら、着物がいいなんて言うんですよ!!」
店の人はうれしそうに微笑みました。
「女の子はやっぱりねえ…」
そう、選ばせてくれると言うのは言葉の上だけで、実はくうみんに選択権はなかったのです。
母には、大変期待するものがあったようです。
うちの娘には超豪華な着物を着せて、皆に見せびらかしたい!!

成人式当日はその着物を着て、母の知り合いを回って歩きました。親戚付き合いはなかったので、親戚に会うことはありませんでしたが。
成人式と言うものに出席はしませんでした。成人式の招待状は来ていましたが、あっちこっち引っ越ししていたので、呼ばれた自治体には、一人の友だちもいなかったからです。
当時、別々に暮らしていた父の所にも「見せに行きなさい」と母が言うので、疲れた体に鞭打って父のもとに行きました。
普段と違う格好だったからか、かわいがっていた飼い犬のコロが、
「ワン!ワン!」
とほえました。でも、「あ、くうみんちゃんだ」と、すぐにわかってしっぽを振ってくれました。いつものように飛びつこうとするので、
「飛びついちゃダメ!」
と言って、家の中に入りました。
家の中にはいると、父は案の定いびきをかいて寝ていました。この人は寝ているか、起きているときはご飯を食べているかトイレに行っている、それくらい良く寝ている人でした。
「お父さん」
くうみんが声をかけると、いびきが一瞬止まりました。
「…ん?」
「着物、着たんだけど…」
父はこちらを見もしないで言いました。
「ちょっとここら辺、片づけてくれ」
父は寝返りを打つと、またそのまま布団に潜り込みました。
くうみんは晴れ着を着たまま、脱ぎっぱなしの服や、テーブルの上の食器を片付けました。あらかた片付くと、物音で眠れなかったらしい父がようやく起きて来て、くうみんに尋ねました。
「その着物、いくらくらいするんだ?」
「知らない」
それから少しお茶を飲んで話をして、何事もなく、母のもとに帰ったのでした。
ちなみに妹も、着物か海外旅行かどちらかを選べ、と言われて、
「金をくれ」
と言って、さんざんに怒られ、私の着物を着せられて終わりでした。
「あんな超豪華な着物を買ってもらえるくうみんは幸せ者なのよ。普通はそんなもの、自分で買うものなんだから」
西太后陛下は今でもそう言います。買ってくれたあの着物が今どこにあるのか知りません。そして、くうみんが自分の金で買うなら、絶対に着物以外の何かであると断言します。
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