台風なのにオジさん達の合唱を聞きに行った
おじさんのいとこであるヒトシちゃんからだ。何でも大学時代は男声合唱団(グリークラブと言う)に所属していたらしい。
「オジさんパワーを見てください」
と、一言書いてあった。
先日は直前のメールが届いたのだが、
「満席が予想されますので早めに来てください」
と強気のメッセージ。ホンマかいな。
会場は横浜なので、金銀姉さん及びそのご主人と、中華街でランチをして、それから会場に向かうことにした。
そしてついにこの日が来た…と思ったら、台風22号で心配な天気。しかし、行かない訳にも行かず、まずランチ会場の中華街にある「山東」へ。
この店は初めて中華街でミシュランに載ったという。特に水餃子がおいしいというので、これを中心に注文。一人前10個。5人で行ったけど4人前注文。あと3品ほどサイドメニューを注文した。
サイドメニューの豚と黄ニラの炒めと卵とトマトの炒めは盛りが超少ない。点心は4個入り。
水餃子は普通においしいという程度だった。
「炒め物は塩味が強すぎるわね」
てと、お姉さん方から不評だった。くうみんも、おじさんとよく行っていた近所の店の方がおいしいと思う。ミシュランよりも自分の感覚が大事。
食事が終わって雨の中を会場に向かった。グリークラブ発表会場の入り口には本当に行列ができていた。みんな家族や友達なんだろう。入場券には一応2千円という値段がついているが、オジさん達には金を取る度胸などないだろう。くうみんもタダで貰った。
これがオバさんだと、そうは行かない。
くうみんは以前フラメンコを習っていたが、発表会のときは会場代やら何やらで、一人1万数千円を支払った。10枚くらい券を貰ったが、これには2千円の値段がついていた。
くうみんには、これを友達に売りつけるなどと言う図々しいことはできなかった。しかし、当時そこにいたオバさんたちの幾人かは、完売したと言う。
この人達の営業能力は大したものだ。自分のド下手な踊りで金を稼ぐなどという離れ業をやってのける。この営業力のある人達を家庭に縛り付けておくのは日本経済の大きな失点であると感じたものだ。
おばさんというのはこのようにオソロなものである。
しかし、今日はいつもであれば影の薄いオジさんがメインだ。いったいどんなステージになるんだろ。
あまり前の方では首が疲れると、適切な位置に座った。なるほど遅く来たのではいい席は取れないようだ。そのうち会場が暗くなり、司会者が挨拶。そして、オジさん達がステージ上に立つ。
おお!すごい!おやじだらけだ!!
現役の若い者も2、30人いるが、その何倍ものオジさんたちがいるのだ。皆、同じような真っ黒いスーツを着て、蝶ネクタイをしている。
ヒトシちゃんはトップテノールと言っていたが、トップテノールと言うのは「特に上手なテノール」という意味だと思っていたが、「特に高いテノール」という意味だった。次にセカンドテノール、バリトン、バスと続く。
バリトンとバスは同じ意味だと思っていたが、バスが一番低いというのも初めて知った。
その後もくうみんの勘違いは続き、「カエルの歌」を歌うというので、てっきり「カエルの歌が、聞こえて来るよ、ぐぁっ、ぐぁっ、ぐぁっ、ぐぁっ、ゲコゲコゲコゲコ…」だと思っていたら、「男声合唱団のための組曲蛙の歌」と言う草野新平先生作詞の、由緒正しい歌だった。
日頃影の薄いオジさん達であるが、この日は圧倒されっぱなしだった。なんと200人もの老若男子が勢ぞろいしたのだから、台風22号も吹っ飛ばすような勢いだった。
写真が撮れればよかったのだが、「写真NG」ということだったので、このオジさん達の雄姿はお見せすることとはできない。オジさんパワーに圧倒されながら、2時間余りの合唱は終わった。
金子姉さんのご主人益々しめじさんは、
「ブラボ~!!」
と叫んだ。金銀両姉さんはいっしょけんめになって存在をアピールしていたので、くうみんも真似をして大きく手を振った。銀子姉さんのご主人の万年螺利宝さんは押し黙っていた。
ステージ上のヒトシちゃんは気づいたらしく、はにかんだような微笑みを浮かべた。
オジさん達は、どっこい生きてるぜ!!と、今日ばかりは元気いっぱいだった。
明日からはまた、哀愁を背中に漂わせたオジさんに戻るのだとしても。
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