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最近何かとお呼び出し くうみん母のもとに馳せ参じてみれば

 ある日某所から電話があった。
「もしもし、くうみんさんのお宅ですか?」
「はい、そうですが」
 何かと思ったら西太后陛下に関する公的な手続きのことだった。
「という訳で書類をお送りしたいのですが、お母様の方に送りましょうか?それともくうみん様の方へ?」
 以前から書類だの手続きだのは苦手だったのに、歳をとってからそれに輪をかけてできなくなってる。
「それでは私の方に」

 もうそろそろ行かなきゃいけない時期だしな、まったく遠い所に移り住んだもんだ…など思いつつ、書類到着を待っていたある日の午前8時過ぎ、突然くうみん母、西太后陛下から電話があった。
「すぐ来なさいよ!」
 何か突発的なことでもあったのだろうか?書類到着を待ってからではいけないだろうか?
「何かあったの?」
 するとくうみん母はとんでもないことを口走った。
「ススキがきれいだから、見せたいの~。11時までに来てよ~」
 くうみんは思わずガックリした。
「この時間から11時までなんか行ける訳ないでしょ!支度もあるし!」
 すると陛下はなおも食い下がってきた。
「支度なんかいらないじゃないの~」
 支度なんかいらないと言っても、朝食の片付けもしなくちゃいけない、着替えもしなくちゃいけない。おじさんのお下がりの部屋着を着た、この格好で電車に乗ったら大ひんしゅくだ。

 今すぐと言うのは無理。ちょうど役所の手続きで問い合わせがあった所だから、書類が届いたら行こうと思う。そんなに時間はかからない、2、3日うちに連絡する。

 そう言って電話を切った。
「かなり来てるかな?」
 人の都合や、時間を無視して今すぐ来いというのは認知が来ているのかも知れない。しかし、年齢的に仕方ないか。

 ほどなくして書類が届いたので、くうみん母の住む町に赴いた。必要事項を記入させ、書類をチェックした。
「くうみんの世話になるもんかなんて言わないでよ、こんなことも、やらなきゃ損するんだから」
「うん、わかった」
 以前はそういう気持ちがあったらしく、なくしてはならないからと、くうみんが預かるものに限って再発行してしまった。今ではそんなこともなくなったが。

「そうそう、これね、あのススキのきれいな山で採った花で作ったの」
 そう言って、一枚のクリアファイルをくうみんに渡した。キッチンペーパーの中に押し花が入っているのがうっすら見える。
「ふ~ん」
 しかし陛下、この花、採っても良かったの?そう聞こうとしたが、やめた。 

 くうみん母の所に来ると近辺の安くてそこそこ居心地のいい旅館に宿を取るのだが、今回もそうした。
 今回の宿は従業員の対応は大変良くて、海に面した露天風呂は囲いなしのナイスビュー、近くの船からは丸見えだが、この際どうでもいい。

 露天風呂
 船から丸見えの素晴らしい露天風呂

 しかし料理が…
 料理は塩味が効き過ぎている。夜中に何回も水を飲んだ。
 出汁を効かせれば塩は少なくて済むが、出汁を節約しようとすれば足りない味をカバーしようと塩辛くなる。

アワビ踊り焼き
 アワビの踊り焼き、これはいいのだが…

カサゴの煮つけ
 カサゴの煮つけは塩気がきついぞ~。あと、鍋も塩辛いぞ~!!

 翌日は陛下お勧めのススキスポットへ行くことにした。細野高原と言うなだらかな山だ。10月5日から11月11日まで秋のススキイベントをしている。バスはイベント期間中の土休日のみ運行。往復割引千円、片道590円。

 私たちはタクシーで行った。伊豆急の稲取駅から15分ほどだろうか?タクシー代は1100円ちょっとかかる。その上入場料が一人600円。

 受付から200メートルほどの所にあるバス乗降場からシャトルバスで登っていくと、そこら中がススキのじゅうたんだ。ススキが風にそよいでいる。

 ススキ

 上のシャトルバス乗降場に着くと、そこからは人力で上がる。爺さん婆さんが息をゼイゼイさせながら登っていく。
「ね、きれいでしょ」
 くうみん母もゼイゼイ言いながら登っている。今日は天気が曇りで残念だが、晴れた日なら青い海と黄金に輝くススキは歓声を上げるほどきれいだろう。
「うん、そうだねえ」
「これをぜひ見せて上げたくて」
 私、先日もっとすごい所に行ったんだけど。くうみん母、西太后陛下なりの気持ちであるので、素直に感謝した。

細野高原1
 向こうに見えるのは大島

細野高原2
 むぉ~、寒いぞ~


マツヨイグサ
 マツヨイグサ

ヤマラッキョウ
 ヤマラッキョウ

アザミ
 アザミ

リンドウ
 リンドウ 秋の花は紫色が多い

 頂上まで登ったが、どうにもこうにも寒くてたまらん。体幹はいいのだが、手袋をしていなかったので手が冷えていかんともしがたい。陛下はまだ歩くと言ったが、私は寒い、もう嫌だと早々に退却した。
 シャトルバスに乗り込むと、冷え切った体もだんだん温まってきた。

「また来てよ」
「うん」
 陛下は自宅の最寄り駅に着くと、降りて行った。しばらくホームで立ち止まって、こっちを見ていた。電車が動き始めると、手を振って、出口の方に歩いて行った。
 体力的なことを考えると、もう母の方からくうみん宅に来ることは、そうはないだろう。こうして時々様子を見に来なくては。 

 くうみんが家に着くと、6時近くになっていた。あまりお腹もすいていない。フィットネスクラブの風呂に行ってから、あまり期待もしないで近所のスーパーに行った。
 このスーパー、結構高いのよね。あまり値下げもしないし…いいのがなかったら何も買わずに帰ろう。

 そう思って刺身コーナーに行くと、なんと半額セール!!これは買わねば!!
 家に帰ってパックをよく見ると、値段のシールが2重になっている。こんな時、前の値段はどうだったのか、ついはがしてみたくなる。
 もともとの値段は498円、値下げして398円、さらにその半額で199円!これはお買い得!!

 くうみんは刺身を肴にビールを飲んだ。ふとくうみん母の押し花を思い出した。クリアファイルを手に取り、ぬらさないよう気を付けて花をはさんでいるキッチンペーパーをそっと取った。

西太后陛下作 押し花
 くうみん母が作った押し花

 子供の頃、道端に生えている花を摘んで母にプレゼントしたことがある。機嫌が悪いと怖い母であったが、その時はニコニコと機嫌よく受け取ってくれた。

 その立場が逆になった。

 バッカヤロ、西太后陛下…本当はあそこで花を採ってはいけないはずだ…

 ススキとワラビ以外は採ってはいけないと、看板に書いてあったじゃないか…あんた本当はワラビの方が好きだろう。

 バッカヤロ、西太后陛下…
 
 

 
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 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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