親族会議で明らかになったこと おじさんがへなちょこなのは家系だった
おじさんの納骨をしたときに、石屋さんが言っていたそうだ。
墓地には笹がはびこっていて、笹を始末しないと骨壺の入った納骨室が壊れてしまう。だからそこら辺の修理と、名前を刻む石碑がもうすぐいっぱいになるのでこの際そういったことも踏まえた上で墓の改修をした方がいいのではないか。
ふん、なるほど、名前を刻む墓碑は代々の先祖の名前、お父さんの次はお母さんのために空けておいて、一つ空いたところにおじさん、その次にくうみんの名前が入ってスペースは終わり。
なんだか区切りがいいな~、こうなることを予測していたみたいだ。
好きな人ができてプロポーズされたらどうしよ~、悩むな~、な~んて、オホホ。
石屋さんは2つの案を持ってきた。安い方でも50万円、高い方だと100万円以上する。勘弁してくれよ、こんなに出せん。無職じゃロ-ンも組めないし。
墓の管理者は名義上くうみんだが、お姉さんたちもくうみんも、カトリックのことは何も知らないので、詳しい親族のヨハネ叔父さん、ミカエル、ヨゼフに来てもらって、親族会議をすることになった。
所は某イタリアンレストラン。くうみんがお姉さんたちとよく行くところは千円で前菜、パスタ、肉または魚料理とデザートまで付くが、ここはそうは行かない。
「ここ、高いですね」
くうみんはメニューを見ながらお姉さんに言った。
「あそこはお値打ちなのよ」
ぶつくさ言っているうちに親族合計6人が結集した。
「そんなに出せないし、安い方で十分だと思うわ」
お姉さんたちも同じ思いだった。よかった。
本題とは違う話題で盛り上がる。
おじさんのおばあちゃんは30代でご主人を亡くし、女手ひとつで3人の子供を育て上げた女丈夫だ。男ばかり5人兄弟だったのだが、2人は早逝したと言う。
「おばあちゃんはな、子供を育てるために、わしはこんなに気が強くなって、3人の息子はみんなへなちょこになってしまった、とぼやいていたぞ」
へなちょこの一人のヨハネ叔父さんが言った。
「おばあちゃんの家は武家だったんだけど、おばあちゃんのお父さんは剣道がすっごく弱かったらしいぞ!」
「へえ、武士のくせに剣道が弱い…わっはっは!」
大正時代、武家は貧乏になり、商人が景気が良かったらしい。武家の娘はブランドはあるが金はない。商人の家は金はあるがブランドはない。と言うことで武家ブランド嫁を貰う商人が多かったそうだが、おじさんの家も同じだったようだ。
って、そんなことはどうでもいいから墓のことを!
改修の件は安い方で済ませるとして、このまま行くとくうみんには子供がいないし、その次の墓の管理はどうするか?と言う話になった。
おじさんのいとこミカエルが、つぶやいた。
「田舎にある墓は冬は道が凍ってお参りできないんだよね」
「だったらここに!」
「そうしてくれるとありがたいな~」
くうみんもお姉さんも同じ意見だ。
おじさんの家の墓がある墓地は、知る人ぞ知るブランド墓地で、欲しい人はいくらでもいると言う。特にうちの墓は古参の場所なのでなかなか手に入らないと言う。
「そういう墓だから、手放すのはもったいないよ」
ヨハネ叔父さんが言った。
くうみんの代で墓がつぶれたとなるとやはり責任を感じてしまう。いつかはなくなる日がやってくるのだけれど、自分のときは安泰に、と勝手にも思ってしまう。
しかし、おじさんのひいおじいちゃんは武士のくせに剣道が弱かったのか。
そうだなあ、「みんなへなちょこ」だものなあ。おじさんも文武の文はなんとか行けるとして、武は全然だめだった。
力はないし、逃げ足に至ってはくうみんの圧勝だ。
それでもおじさんは、物騒な暗い夜道では役に立った。
「一応男だし、体がでかいから、こんなんでも暗い夜道では、張りぼての役割くらいは果たすな!」
と、くうみんが言うと、おじさんは二ヤ~と笑っていたっけ。
おじさんがへなちょこなのはおじさんの家の家系なんだねえ。

にほんブログ村
墓地には笹がはびこっていて、笹を始末しないと骨壺の入った納骨室が壊れてしまう。だからそこら辺の修理と、名前を刻む石碑がもうすぐいっぱいになるのでこの際そういったことも踏まえた上で墓の改修をした方がいいのではないか。
ふん、なるほど、名前を刻む墓碑は代々の先祖の名前、お父さんの次はお母さんのために空けておいて、一つ空いたところにおじさん、その次にくうみんの名前が入ってスペースは終わり。
なんだか区切りがいいな~、こうなることを予測していたみたいだ。
好きな人ができてプロポーズされたらどうしよ~、悩むな~、な~んて、オホホ。
石屋さんは2つの案を持ってきた。安い方でも50万円、高い方だと100万円以上する。勘弁してくれよ、こんなに出せん。無職じゃロ-ンも組めないし。
墓の管理者は名義上くうみんだが、お姉さんたちもくうみんも、カトリックのことは何も知らないので、詳しい親族のヨハネ叔父さん、ミカエル、ヨゼフに来てもらって、親族会議をすることになった。
所は某イタリアンレストラン。くうみんがお姉さんたちとよく行くところは千円で前菜、パスタ、肉または魚料理とデザートまで付くが、ここはそうは行かない。
「ここ、高いですね」
くうみんはメニューを見ながらお姉さんに言った。
「あそこはお値打ちなのよ」
ぶつくさ言っているうちに親族合計6人が結集した。
「そんなに出せないし、安い方で十分だと思うわ」
お姉さんたちも同じ思いだった。よかった。
本題とは違う話題で盛り上がる。
おじさんのおばあちゃんは30代でご主人を亡くし、女手ひとつで3人の子供を育て上げた女丈夫だ。男ばかり5人兄弟だったのだが、2人は早逝したと言う。
「おばあちゃんはな、子供を育てるために、わしはこんなに気が強くなって、3人の息子はみんなへなちょこになってしまった、とぼやいていたぞ」
へなちょこの一人のヨハネ叔父さんが言った。
「おばあちゃんの家は武家だったんだけど、おばあちゃんのお父さんは剣道がすっごく弱かったらしいぞ!」
「へえ、武士のくせに剣道が弱い…わっはっは!」
大正時代、武家は貧乏になり、商人が景気が良かったらしい。武家の娘はブランドはあるが金はない。商人の家は金はあるがブランドはない。と言うことで武家ブランド嫁を貰う商人が多かったそうだが、おじさんの家も同じだったようだ。
って、そんなことはどうでもいいから墓のことを!
改修の件は安い方で済ませるとして、このまま行くとくうみんには子供がいないし、その次の墓の管理はどうするか?と言う話になった。
おじさんのいとこミカエルが、つぶやいた。
「田舎にある墓は冬は道が凍ってお参りできないんだよね」
「だったらここに!」
「そうしてくれるとありがたいな~」
くうみんもお姉さんも同じ意見だ。
おじさんの家の墓がある墓地は、知る人ぞ知るブランド墓地で、欲しい人はいくらでもいると言う。特にうちの墓は古参の場所なのでなかなか手に入らないと言う。
「そういう墓だから、手放すのはもったいないよ」
ヨハネ叔父さんが言った。
くうみんの代で墓がつぶれたとなるとやはり責任を感じてしまう。いつかはなくなる日がやってくるのだけれど、自分のときは安泰に、と勝手にも思ってしまう。
しかし、おじさんのひいおじいちゃんは武士のくせに剣道が弱かったのか。
そうだなあ、「みんなへなちょこ」だものなあ。おじさんも文武の文はなんとか行けるとして、武は全然だめだった。
力はないし、逃げ足に至ってはくうみんの圧勝だ。
それでもおじさんは、物騒な暗い夜道では役に立った。
「一応男だし、体がでかいから、こんなんでも暗い夜道では、張りぼての役割くらいは果たすな!」
と、くうみんが言うと、おじさんは二ヤ~と笑っていたっけ。
おじさんがへなちょこなのはおじさんの家の家系なんだねえ。


にほんブログ村
スポンサーサイト