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どうか私のようにならないでください

 夫が亡くなると言う心神喪失状態のときは、とんでもないことをしてしまうものです。

「AさんとBさんに相談するように」
 これではどうしていいのか、わかりません。
 
 自営で仕事をしている人は、万一の場合はどうすればいいのかということを文書にしてあとに残された家族に託しておくべきです。

 優秀で、性格のいい番頭さんがいれば、その方に任せるのがベターですが、私の夫のように一人でやっている場合は特にそうです。

 具体的にどうすればよいか、年間の仕事の流れを書いておき、緊急の仕事があった場合はその仕事を待って貰うとか、そうでない場合は誰に頼むのか、そういったことを簡潔にまとめて書いておくべきです。
 これを二人以上の家族、肉親と一緒に開いて見るように伝えておくことです。
 いくら具体的に書いてあったとしても、混乱した人は読み間違い、勘違いをするかもしれないからです。 

 もし、何かを決断するときは決して一人で決めてはならない。必ず二人以上の家族や肉親と一緒に決めるように。相談する人が一人だと狂った人を前にして流されてしまうかも知れない。冷静な人2人なら、狂った人を前にしても冷静な判断ができることでしょう。

 同じ仕事をしている人への相談は、どうしても必要になると思います。その場合は、遠い所で同じ仕事をしていて、利害の全くない人に相談するのがいいと思います。
 近くの人では、利害がありますので、今回の私のようになりかねません。

 今回の場合も、こんな方法もあると、正しいアドバイスをしてくれたのはみちのく某所で、秤士をしている人でした。この人は学生時代のサークル仲間です。

 ですので、学生時代の友達などで、遠い所で同じ仕事をしている人とは、年賀状でもいいから連絡を取れる状態にして、いざというときのアドバイザーになっていただけるようにしてください。普段疎遠な方が、利害関係がないので公正な意見を言ってくれるものです。

 普段いい人だと思っていても、金銭が絡むと人は鬼になる。良く言われますが、本当にその通りでした。そして、せっかくの好意も、用済みになれば顧みられることもなく…

 あとに残された者が、悲しみだけでなく、苦い思いをしなくて済むように、今すぐに自分亡き後のことを書いておいてください。

 縁起でもない?そのうちに書く?

 いいえ、縁起なんて私のようになったものにとっては虚しいものです!今すぐに書くのです!

 私の夫もこんなに早く亡くなるなんて、その瞬間まで思っていなかったことでしょう。

 生前の夫との会話。新聞の年金記事を見ながら夫は言いました。
「年金の受け取りは繰り延べした方がいいな」
 それに対し、私はこう答えました。
「私、そんなに長生きしないと思うから、貰えるようになったらすぐに貰う」
 夫はちょっと考えてから、言いました。
「そうか、それじゃお前がもらうその年金は、残された俺のための貯金になるんだな」

 そう、夫も私も、先に逝くのは私だと思っていたのです。

 先に逝ったものは日ごと美しい思い出になる。

 残された者は、逝ってしまった人を日々思う。追っても追っても近づかない、蜃気楼のような、愛しい人を思う。

 夢で会えたら。霊に会えたら。そして、迎えに来てくれたら。

 残された私が愛しい人を偲ぶためには、あなたが残した衣服や、身の回りの物を抱きしめることしかできない。

 こんな哀れな残された者をもっとみじめにしないように。
 
 



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テーマ : 伝えたいこと
ジャンル : 日記

愚かな女房 失敗を語る

 皆さん初めまして。大失敗をしてしまった秤士の女房です。

 皆さん私のことを、なんてバカなんだろうと思われたことでしょう。しかし、非常時と言うのはそういうものなのです。夫が亡くなったのは7月初めで、数日後に年2回の年貢治めの日が迫っていました。
「これをなんとかしないとお客さんに迷惑がかかる…」

 それだけしか頭になく、夫が生前言っていたこと、
「万一のことがあったら、AさんとBさんに相談しなさい」
 と言っていたのを思い出したのはいいのですが、相談すれば済むことを、A氏に向かって、「夫が亡くなりました。AさんとBさんとでお客さんを分けてください」と言ってしまったのです。

 弁解するようですが、この日の未明に夫の死を知らされ、私は心神喪失状態にありました。

 そして私も夫も、人を見る目がなかったのです。

 もし仮にA氏が心正しい人ならば、次のように思ったのではありますまいか?
「この女房は、夫の死で頭が混乱しておかしなことを言っている。とりあえず預かって、後で家族と相談するように言おう」
 
 しかしAは、仕事を独り占めしようとした。そうはさせじと私も顧客リストを奪いましたが、もうおいしい所は取った後でした。

 その後も私の失敗は続きます。正義の味方のはずのB氏に顧客リストを持って行ってしまいました。
 B氏は早速顧客を回り、自分のものにしましたが、主人の霊前には何の挨拶もしません。

 普通であれば、霊前に来て報告するものではないか?
「あなたの顧客を引き継ぎます。ご安心ください」
 くらいのことは言うものではないか?それをまるでいただくものだけいただいたら、後は知らぬふりとは…

 その後、若い頃のサークル仲間で、同じように東北で秤士をしている人から連絡がありました。
「年貢取り立て処を定年になった秤士なら、年金があるので給料は安くていいと言う人もいる。そういう秤士に仕事を任せて、経営権だけ引き継いではどうか?それならわずかだが、収入も期待できる」

 教えてもらった頃はもう遅かった。そんなことができるなんて誰も教えてくれませんでした。お金はいくばくかでもいいから欲しい所なのに…
 しかし、その手があると判っていても、私には経営なんてできないと思われました。

 自分よりはるかに能力のある人に仕事をお願いする。自分よりはるかに頭のいい人をマネジメントする…言い方は悪いですが、これは猛獣使いのような能力がないとできません。
 仕事をするのはその人なのですから、私の事務所をやめて、客をすべて持って行けば、その方が儲かる…そう考えることでしょう。そうしたらもっと嫌な思いをする羽目になる。

 だから顧客を人にわけるしかないと思います。それならば、どうしたらよかったのか?

 顧客と秤士の相性を見極めて、なるべく大勢の秤士に仕事を分けるのが良かったと思います。私の軽はずみな行動のおかげで、感謝されてしかるべきA氏にもB氏にも、お互い気まずい思いをしています。

 心神喪失状態での判断と言うのは誠に普段なら考えられない行動をしてしまうものです。ちなみに一年くらいは大きな判断はしない方がいい、と言う人もいます。

 それなら、自営業を営む大黒柱に先立たれた時は、どうしたらいいのか?失敗から学びましょう。

 世の自営業者の皆さん、たった今から是非していただきたいことがあります。

続く





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テーマ : 伝えたいこと
ジャンル : 日記

愚かな女房がしてしまった取り返しのつかない事

 昔々あるところに秤士の男がいた。

 秤士と言うのは農園の収穫と使った費用や労力を評価し、年貢を計算する仕事だ。仲のいい夫婦だった。秤士は資格がないとできないので、女房は
「あんたに万一のことがあったらどうすればいいんだい?」
と聞いた。秤士の男は
「AさんとBさんに相談しなさい」
と言った。

 二人は幸せに暮らしていたが、ある日、秤士の男は急死してしまった。女房の嘆きは計り知れないものだった。しかし、悲しんでばかりもいられない。葬儀の手配や何やら、次から次へと仕事がある。

 そして手がけている農園の年貢治めの期日が迫っていることに気付いた。
「急がないと農園主に迷惑がかかる!!」

 あわてた女房は、亭主から、
「万一の時はAさんとBさんに相談するように」
 と言われたのを思い出した。

 取りあえずAの所に農園のリストを持って行き、
これをAさんとBさんとで分けてください
 と言ってしまった!!

 そう、聡明な読者ならすぐ気づくだろうが、亭主は
「AさんとBさんに相談するように」
 と言ったのに、気が動転している女房は
「AさんとBさんで分けてください」
 と言ってしまったのだ。

 リストを手渡されたAは小躍りした。昔なら字が書けない者がざらにいたのだが、最近は皆、寺子屋で読み書きとそろばんくらいは身につけている。自分で年貢を計算する輩が増えて、客も先細りだ。
「この農園をすべて自分の客にしてしまおう」

 Aは農園の権利独り占めを企て、Bには農園を分けようとしなかった。それを知った女房は独り占めは許さないと、Aの家に押しかけ、リストを奪い返すと、それをBに手渡した。

 めでたしめでたし…と思ったが、女房は少し落ち着いてハッと気づいた。

「亭主は、AさんとBさんに相談するように言っただけだ。それを私は二人で分けてくれと言ってしまった。わたしは亭主が営々と築いてきたものを一瞬にして人手に渡してしまった…」

 どうせならもっと人柄のいい秤士に手渡すべきだった。

 Aは、独り占めを図ったし、正義の味方面してあとから現れたBは、亭主の仏前に線香一本供えに来ない。親戚にも秤士はいたではないか?!あの性格も良くて頭のいい子にあげればよかった!!

 しかし、今更お客さんに他の秤士にしてくれとも言えない。迷惑をかける。

 それに自分がどうあれ、お客さんが満足してくれればそれでいいではないか…女房はそう自分に言い聞かせて諦めるしかなかった。


  



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テーマ : ひとりごと
ジャンル : ライフ

久々のマラソン大会 久々の好調

 まだおじさんが生きていた6月くらいに駅伝メンバーにならないかと誘われた。
「女子最強チームを作ろうよ」
 声をかけてきたのはテニスコーチをしていると言う、顔はかわいいが、脱いだらすごい筋肉のUさん。
 こんなオバサンが最強チームの一員としてお誘いを受けるなんて光栄だ。
「でも、私、最近遅いから」
 そう、さすがのくうみんも寄る年波で、少し追い込むと疲れがなかなか抜けず、質量ともに軽くした運動しかできなくなった。
「その前に5キロレースもあるから、私それにも出るつもりなの。だから駅伝はほんの余興だと思って。そんなに堅苦しく考えなくても大丈夫」
「ふ~ん、それじゃ、参加しようかな」

 そのうちにおじさんが亡くなった。誰でも察しが付くと思うが半狂乱、悲しみ、儀式や手続きでそれどころではなくなった。
「ごめんね、今はまだマラソンなんて、そんなこと考えられなくなったわ」
「うん、判ってる。何かあったら何でも言って。話し相手くらいにはなるから」
「ありがとう」

 実際の所、悲しいだけの日々ではなかった。おじさんの仕事をどうするかでトンビにあぶらげかっさらわれたように思うことがあった。このことはまた。
 悲しい思い、悔しい思いをないまぜにして、時は過ぎて行った。

 そのうちに、時々笑うこともできるようになった。するとやっぱりうずきだす。逃げ足の速さを試したいと言う気持ち。よし!私も5キロマラソンにも出よう。その上で駅伝も走ろう。でも駅伝は一周で勘弁してもらおう。何せ寄る年波…

 と言うことで10月某日、5キロマラソンと駅伝に参加することになった。駅伝は全部でハーフマラソンの距離である21.0975キロを走る。うちのチームの場合は、一人一区間3キロを4人でつないでいく。

 駅伝に参加する女子チームは5チームしかなかった。
 市民マラソンでは、女子は男子に比べやはりまだレベルが低いので入賞の可能性は高い。くうみんは4人の中でダントツの高齢だ。くうみんは他のメンバーに頼んだ。
「私は走るの一回にして」
 寄る年波…

 会場は虫が多かった。トンボはいいのだが、コバエのような小さな虫が無数にはびこっている。来年はどうにかして欲しい。
トンボに好かれたお姉さん
 このお姉さんが好きなのか、ずっととまって離れなかったトンボ君。

 5キロマラソンがスタートした。今までは40歳以上は50だろうと60だろうと十把一からげだったのが50代の部、60代の部もできて入賞の可能性が出て来た。やはり入賞できるかも知れないと言うのは原動力になる。

2位は表彰状だけ
 やった!5キロマラソン一億歳の部2位だ!しかし賞品が出るのは1位の人だけ。ガックリ。

駅伝チーム
 花の美人揃いの駅伝チーム

 くうみんは駅伝は、一回走った後はもう走らないので早々と着替えをした。更衣室が空いていて助かった。 

一位だ
くうみん達の駅伝チームは何と1位だ!やった!

 駅伝の場合は3位まで賞品が出た。2位と3位はポカリスエット1ケース。あんなのどうやって持って帰れと言うんじゃ。

 そして気になる一位の賞品は…何と!過去の大会で出た参加賞の寄せ集めだ。申し訳のようにその中にお菓子やタオルが入っている。
「何よこれは!!」
 あんまりうれしくない。これならポカリスエットの方がまだましだ。

 この賞品のしょぼさでは、苦情が殺到するであろう。

一番人気の段ボールマン
 一番人気の段ボールマン。この格好で5キロ…よく頑張った。子供たちが10人以上ついて行って、まるでブレーメンの笛吹き男状態。これでは途中棄権しようにもできなかったであろう。
 もちろん仮装大賞。

 いい天気で大汗をかいた。汗が入るのか、何となく口の中が塩辛い。大会から一人で帰るのはおじさんが生きているときも同じ。おじさんは随分前から大会には出なくなっていた。今思うとそのころから具合が悪かったのか?

 家に帰ると以前ならおじさんはソファに寝そべって本を読んでいるか、テレビを見ていた。でも今は、大きな遺影は畳の部屋で、小さな遺影はテーブルの上で、それぞれ微笑んでいるだけ。

「おじさん、見て。また入賞できるようになったよ」

 以前みたいに、「おっ、すげーな!」とか言ってくれない。

 いくら話しかけても今のおじさんは静かに微笑んでいるだけだ。

 
 


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テーマ : マラソン大会
ジャンル : スポーツ

やっと納骨 おじさんの帰った所 そしてくうみんの帰る所

 おじさんの納骨は、本当は8月にしなくてはならない事であった。しかし8月は暑い。
「もっと涼しくなってからがいいんじゃない?」
 お姉さん達も言うので、9月某日に行う予定でいた。もちろん無宗教で。そして親戚に集合をかけたのだが、
「待った~~~!」
 と言う声がした。

「神父様のお祈りなしで納骨なんてとんでもない!」
 おじさんのいとこのミカエルだ。
 プロテスタントの牧師様はたくさんいらっしゃるが、神父様と言うのは日本には少ない。だからいつも忙しい。来てくださる神父様を探すのは至難の業だ。
「僕が神父様を探すから、待っていてくれ」

 と、ミカエルが言う。という話を、お姉さんから聞いた。
「そうですか、それじゃ、待ちましょう」

 そのうちミカエルのお父さん、ヨゼフ・ミカエルが亡くなった。ミカエルは神父様を探すどころの騒ぎではなくなり、「おじさんの納骨に来てくださる神父様探し」は、中断せざるを得なかった。

「いったいいつになるんだろう?」
 納骨や49日は早い分にはいいが、遅いのは後回しにしていることなので良くないと聞いた。しかし、ミカエルも善意でやってくれているので文句も言えない。
 気長に待つこと数週間、ようやく10月12日、納骨と決まった。ミカエルの父、ヨゼフ・ミカエルの遺骨もついでと言ってはなんだが、同じ日にこちらの墓に分骨したいと言う。まあいいか、いっぺんに済めば面倒なくていいし、これ以上延ばすのもなんだかな。

「ミサもやるから」
 と、ミカエルが言ったそうだ。
「まさか嫌だとかいうんじゃないよね?」
「いえ、そんなことは」
 と、お姉さんは答えたそうだ。喪主は私、主役はおじさんのはずだが、知らない所で話は進んで行った。宗教のことは門外漢なので仕方ない。 

 当日は、重い遺骨を抱えてくうみん母と電車に乗ると、若い人が席を譲ってくれた。
「ありがとうございます」
 と言って有難く座らせていただく。
 墓最寄りの駅に着くと、2番目のお姉さん一家がホームにいた。それぞれタクシーで墓地に向かった。

 ミサは11時から予定通り執り行われ、「あめなる喜び」「主よみもとに近づかん」など知っている讃美歌は歌った。くうみんは高校がプロテスタントなので若干の讃美歌は歌える。でも、カトリックとは歌の傾向が違うようで、知らない歌ばかりだった。

祭壇1

 厳粛な式次第が終わると、納骨となった。いい天気で良かった。おじさんの骨壺におじさんの名前を書いた。
「こうすればくうみんさんが中に入るとき、間違いなく隣同士になれるから」
 ミカエル、あったまいいな~。そうか、それじゃ、くうみんが入ったらおじさんと隣同士にしてもらって、ひもで縛るかボンドではっ付けてくれ。

 順番で言うと、墓碑には先に亡くなったおじさんのお父さんの隣におじさんの名前が入るのだが、それではお父さん、おじさん、お母さん、くうみんになってしまう。
「それよりおじさんとくうみんさんは隣同士になった方がいいでしょ」
 と、お姉さんが言ってくれたのでお父さんの隣はお母さん用にワンスペース空けて、その次におじさんの名前を彫ってもらった。

 おじさんのおばあちゃんは本当は「エリザベット・マリア」と言う洗礼名なのだが、お父さんが間違えて「エリザベット」だけしか彫らなかった。
「しまった、間違えちゃったよ」
「しようがないな、兄さん」
 と、親戚中から笑われたが、おじさんもなんとお父さんの洗礼名を間違って彫っていた。「ペテロ」となっていたが、本当は「ペテロ・ヨゼフ」だった。
 親子して同じ間違いを…でも、おじさんは確か親戚の某から「お父さんの洗礼名はペテロ」と教えられたと言っていた。だから仕方ないか。

 次にお母さんが亡くなった時にでも、石屋さんにまとめて修正してもらおう。

 遺骨を中に納めると、おじさんとお別れ…だが、ちゃんと小さな遺骨は取ってある。
 
 その後は食事会。
お食事会
おじさんとヨゼフ・ミカエルにも影膳を。おじさんはビール、ヨゼフ・ミカエルはコーラがお好きだったそうだ

神父様にも参加していただく。神父様が一番の上座で、喪主であるくうみんはその次に座った。神父様と言うのは偉いのでお付きの人がいるはずなのだが、この神父様にはいないと言う。
「もうそういう時代ではないのですよ。食事も洗濯も私は自分でしますよ」
 立派なひげを蓄えた神父様は言った。

髭の立派な神父様

 最近は神学生も少なくなってしまったそうだ。おじさんいとこのMちゃんが、席を替わってきて神父様にいろいろ質問をした。
「神父様は孤独を感じないものですか?」
 彼もはや40を過ぎた。しかしまだ結婚していない。
「いや、もちろん感じますよ」
 神父様も一人の人間だ。
「神学生や、若い神父の中には好きな女性ができて、神職を捨てることも少なくありません」

 人が成長して恋をして、結婚というのは当然のことだ。しかし、神に仕える身となっては、手放しで祝福と言う訳にも行かないだろう。神父様が少ないのは、こんな事情もあってのことだと思う。我が心石に非ず。

 くうみんは隣の神父様に話しかけた。
「ある仏教の師は、亡くなったおじさんは本来いるべきところに帰ったのだと言いました。カトリックでもそうなのですね」
 ある仏教の師と言うのはもちろん、ドジ霊能師照玉師だ。ミサの時、同じように神父様は「おじさんは天に帰った」と、いっていた。
「そうです。カトリックでも同じです。帰天、と言います」

 おじさんは天に帰ったのか。どこかに行ったのではなく、天に、本来いるべきところに帰ったのか。私はいつ、おじさんのいるところに「帰る」ことができるのか。そもそもくうみんの帰るところはおじさんと同じところなのか。

 自分で死ぬほどの度胸はない。ただ、この世で自分の仕事が終われば、私も天に帰って行くのだろう。

 
 


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テーマ : 最近の出来事
ジャンル : 日記

 気晴らしの日々 久々のオフ会、そして日光に大根をしょって行った日

 ある日くうみんの携帯が鳴った。これはおじさんから相続したものだ。くうみんも自分専用の携帯が欲しかったが、
「人と待ち合わせをするときはこれを貸してやるから、いいだろ?」
 とおじさんが言うので、自分用のは持っていなかった。

 とうとう自分の携帯を手に入れた!…全然うれしくない。

「はい」
「俺だ、わしだよ、悠愛だ」

 一時期仲たがいしてしまった悠愛さんだ。
「ご主人亡くなったんだってね、お悔やみ申し上げます。ところでこんな時になんだけど、オフ会に来ませんか?」

 だいぶ急な話だったが、おじさんが死んでから外食をすることがほとんどなくなったので、ありがたくお受けした。気晴らしになるかも知れない。
 新宿小田急本店の14階にある清月堂と言う高級フランス料理店だそうだ。ランチは5500円と言うから、結構いいお値段だ。
 
 土地勘のないドジ霊能師、照玉師と新宿西口で待ち合わせ、目的地に向かう。くうみんも方向音痴だが小田急本店はJR西口のすぐそばだったのですぐに分かった。

「照玉師、こちらです」
 照玉師を引率し、エレベータに乗った。照玉師はヒールの高い靴がお好きのようだった。しかし、くうみみんの家に来たとき、800才と言う高齢のためだろう、
「足が疲れた、運動靴を買うわ~」
と言う。
「照玉師、買うには及びません。これは走るにはもう駄目だけど、普通に街歩きする分には充分です」
と、くうみんの古いランニングシューズを差し上げた。
 その履きやすさに魅了されたのか、今日はスニーカーをお召しだ。
「その方がいいですよ、もう800才なんだから」
「そうね」

 まだ誰も来ていないと思った会場にはほとんどの人が揃っていた。おじさんが亡くなった時は毎日のように電話してくれためろんさんもいた。
「お久しぶり」

 一番の関心はやはり料理。悠愛さんのオフ会は量より質を重視する大人のオフ会だ。そのせいか年齢層が高いのなんの。

かぼちゃのムース入りコンソメジュレ
 前菜の前に出て来たカボチャのムースコンソメジュレ載せ。前菜の前菜と言うのか?

 前菜も3種類の中から選ぶ。くうみんはフォアグラを。
フォアグラのナンタラ
 フォアグラなんて初めて食べた!今までは缶詰しか食べたことがなかった。くうみん感激!

 この次はコーンスープが出た。写真は略。

 メインディッシュは仔牛料理、ホタテとエリンギのグリル、タイのグリルの中から好きなものを選ぶ。仔牛料理が人気。くうみんも仔牛を。
一番人気の仔牛のナンタラ
 うまかった
 
ホタテとエリンギのグリル
 うまそうだった

本日の魚料理 鯛だそうだ
 めろんさんが注文したタイのグリル。これもうまそうだった。

 次はデザートだ。これも3種類から選ぶのだが、くうみんはプリンとアイスクリームを。
カスタードプリンとアイスクリーム
 もうちょっと量が欲しいなあ

シャーベット3種
 幸達さんが選んだシャーベット

皇子お勧めのブリュレ
 悠愛さんがお勧めしたせいか、一番人気のブリュレ。これもうまそうだ

 どうも人が注文したものがおいしそうに見えてならない。

料理に夢中の皆さん
 料理に夢中の皆さん

 12時から始まったオフ会は3時30分でお開きとなった。この後皆さんは三々五々帰って行ったのだが、くうみんを含めた3人のヲバは、この後お茶するに及んだのであった。
 メンバーは、御存じ照玉師と、バラのブログのMmrose様、そしてくうみんだ。Mmrose様は「見える」人なのだそうだ。二人でスピリチュアル系の話をしていたが、見えないくうみんにとっては感心しながら話を聞くばかり。

 一時間ほども話をしていただろうか。3人のヲバは根っこを張ったように動かなかった重い腰をあげてそれぞれの家路につくのであった。

 あるものは亭主のご飯を作りに。あるものは、大垣の本拠地に。

 そしてくうみんは今日の晩御飯は残り物の煮物でいいや、後はスーパーで半額ものでも物色しようと、ぼんやり考える。
 今日のオフ会ではみんな連れ合いさんのことを話していたな。そのたびに胸がキュッとした。
 くうみんだっておじさんが生きていたときは「おじさん、おじさん」と言っていた。皆さん、あまり気にしないでね。これは禁句、なんて腫れ物に触るようなことはしないでね。

 見える人たち…照玉師や、Mmroseさん。
 いいな、そんな能力があって。くうみんにもそんな力があったなら、おじさんと話ができるのに。

 
 
 実はちゃっかり10月上旬、日光なんて行ったのさ。

 東武浅草駅前で、日光鬼怒川キャンペーンで、大きな大根を配っていた。この大根は後で測ったら一本1.1キロあった。これから旅行に行くと言うのに、くうみんとその母のコンビ、ババヲバが、これを受け取らない訳がない。欲深な2人はこの大根をしょって日光旅行に向かったのであった。

 ホテルは中禅寺温泉の花庵。中禅寺湖のすぐそばに建つこじんまりしたホテル。なかなか良かった。
蒸し野菜
 部屋もいいけど食事も良かった。蒸し野菜

食べかけのAランクの牛ステーキ
 奮発してステーキをつけてもらった。A5ランクのステーキ。おじさんは脂っこくて嫌だと言いそう

 天気は良かったけど、風が強かった
男体山
 男体山もきれいに見えた。

竜頭の滝の紅葉1
 日光で紅葉が一番早いと言う竜頭の滝

小滝、かな?
 竜頭の滝の下にある滝。小滝って言うのかな?

 本当は一人で行こうとしたけど、一人部屋はなかなかないし、あったとしても高いのでくうみん母と一緒に行ったのだ。

 おかんと喧嘩した。

 おじさん、一泊旅行も長い旅行も、やっぱりおじさんと行きたいよ。





   


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テーマ : Lunch♪
ジャンル : グルメ

Not my business おじさん、それはあんたの仕事だ!!

 死別ブログではガンで最愛の人と死に別れた人が非常に多い。なんでガンのくうみんが生き残るのか。バカバカ、おじさんのバカ。

 今日、以前の顧問先に電話した。
「どうしていますか?」
 こちらは元気にしていますよ。そちらこそどうですか?

 おじさんはくうみんのことをとても心配していたらしい。
「癌は取り切れなかったんだよ。どれくらい生きられるのか」

 いつもおじさんはそう言って心配していましたよ。

 そういうのです。

 そんなに心配していたなんて知らなかった。
「くうみんは大丈夫」
 くうみんはいつも言っていたじゃない。

 局所再発の可能性が極めて高い

 なんてバカグソ医者のパソコンの画面に黄緑色の倍角文字で書かれていたの、そんなに気にしていたの?あの医者の言うことなんか信じるなよ。くうみんは全く信じていなかったよ。あんなバカグソ医者。

 そんなに心配してくれていたなんて、なんだか泣けてくる。それより気付かないうちに自分の方が病魔に侵されていたなんて。気付かないうちに心筋梗塞、脳梗塞に侵されていたなんて。よくある話。

 今はおじさんの確定申告書を作成している。これはおじさん、あんたの仕事だろう。

 先祖のお祀り。長男のおじさんは先祖の位牌をお祀りすることになっている。でもおじさん亡き後、
「誰がするのかな~」
 と思っていたけど、何だくうみんじゃん。墓の管理責任者。これも誰がするのかと思っていたら、何だ、くうみんじゃん。うちには子供がいないから、くうみん亡き後のために養子縁組でもしようか。バングラの婿殿が家を引き継ぐこともあるかも知れない。

 そうなったら、神道、仏教、カトリック、イスラム教が同居する。実に日本的だ。

 いい人だと思っていたあの人は実はとんでもない人だったよ。 

 悪い奴にみすみすおいしい思いをさせないよう、くうみんは暗躍している。これも本来はおじさん、あんたの仕事だ。
 暗躍なんて浮世離れしたおじさんにはできないことかも。

 でも、がんばる。悪い奴が肥え太るようなこと指をくわえて見ているものか。

 そしておじさん!このブログで、亡き人を偲ぶのは、あんただったはずだ。私は乳がんで先立つ悲しくも最愛の人だったはずだ。
 なのに、なんでこの私がおじさんを偲ぶ…

 どれもこれも、おじさんがすべきことなんだよ。

 Not my business!

 



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テーマ : 頑張れ自分。
ジャンル : 日記

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ひねくれくうみん

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 年齢一億歳。
 
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