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2008年入院から退院まで 思い入れたっぷり編

 当時のパート先は市の健康保険の係だった。入院するとき、パート先ではちょうど夏休みの時期だったので、長期に休む予定を出したくうみんに、正職員の若い男性が聞いてきた。
「ずいぶん長く休むみたいだけど、今度はどこへ行くんですか?」
「今度はアーバンリゾートなの。何もしないでのんびりしてくる」
「そうですか、楽しんで来てください」

 あんまり楽しめない。

 係長には病気のことを言ったが、係長はプライバシーのこともあるので他の人には黙っていたようだ。

入院する前に、家を大掃除した。おじさんの置きエサおかずを何品か作った。

 入院するときは心ボロボロ。

 どれくらいボロボロかと言うと、遠藤周作の小説、「私が・棄てた・女」の主人公、男に捨てられて風俗嬢にまで身を落とした田舎娘ミツが、ライ病だと言う診断を下される。そしてライ病患者を収容する施設に行くのだが、その門前に、外国人シスターがいた。たどたどしい日本語で、
「何も怖いこと、ありません。怖くないです」
と、声をかけられて、その場で泣き崩れると言うシーンがあるけど、それくらい惨めだった。

看護師さんから優しく、そんなこととを言われたら、人目もはばからずに
「ぅうぉ~~~ぃ」
と、泣いてしまっただろう。

 言わない方がいい。病院中泣き声だらけになる。

 しかし入院中は結構楽しかった。病院によっては、食事はベッドでカーテンを閉めて食べると言う所もあるそうだが、ここではみんな仲良く机を寄せて食べた。

 くうみんが入院し、今も通っているのはがん専門病院だ。
「なんでこんな所に行くんだろう。すぐガンだってわかっちゃうじゃん」
と思っていたけれど、同じ病気だと言うのはなぜか心強く思うものだ。

 赤信号 みんなで渡れば怖くない。

 あのノリだ。

 一般の病院に入院したと言う、ブログ上で知り合ったがん患者は、「がんの知り合いがいない」と悩んでいた。
「それならこっちにおいでよ」
 と言って、一度飲み会に誘った。楽しそうだったけれど、その後来なくなった。どうしたかな。

  入院患者の中にポシェットをぶら下げている人が何人かいたが、あれはなんだろうと思っていたら、体に付けたドレーンから出てくる黄色い体液をためておく袋を隠すためのものだった。

 こんなものを自分もぶら下げなくてはならないなどとは夢にも思わなかった。

 部屋の中にずっといてもつまらないので、庭を散策したり、外来の方をぶらぶらしてみたりする。入院患者だと、外来の患者よりもえらいような気がして、なぜか態度がデカくなったものだ。

 仲間が次々と退院して行き、ドレーンが外れていくのを見るのは羨ましいものだ。
 思ったよりドレーンが外れるのが遅く、腎臓と乳がんをいっぺんに手術した別格の人を除くと、くうみんは一人取り残された。 

 早く退院したかった。主治医から退院オーケーと言われた時はすっとんでナースセンターに行った。

 さて退院。寿司屋で祝杯を挙げたのは先日書いた。これで底をついたと思ったら、もっと深い底があったなどとは、その時は思ってもいなかった。

 「私が・すてた・女」の主人公ミツは結局ライではなかったのだが、くうみんの場合は初めはⅰ期と言う診断で、そのうちⅡ期a→Ⅱ期b→おびただしい脈管侵襲のため全摘の再手術勧告と状況はすくすくと悪くなっていくのだった。

 泣いてばかりのドツボの日々。しかし、そんなこんなで今に至る。
 
  料理の全くできないおじさんは、くうみんのいない間、どうしていたのだろうか?2、3日分は何か作り置きしたが、その後は?

 2回ほど近所の友達の家で食事に呼んでもらったらしい。

 その他はどうしたのか、以前聞いてみたことがあったが、
「どうやってしのいだのか、憶えていない。夢中だった」
 と言っていた。

 おじさんも大変な毎日を過ごしていたらしい。


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