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魔の山域とまではいわないが 下の廊下はガイドブックで歩行8時間 実際の歩行時間は?

 くうみんは5時頃目を覚ました。使いそうなものはなるべくザックの上の方に置くように荷物を詰め、布団をたたみ、身支度をした。昨夜貰った朝食用のお弁当を食べると、忘れ物がないか確認の後部屋を出て行った。

喰いかけ弁当
 食いかけですみません!

 6時を10分ほど過ぎていた。もうみんな出ている。くうみんが最後だ。ここの主人がロビーにいたので
「お世話になりました」
 と、あいさつした。
「実は4年前、私が足を痛めてしまってここに急に泊まることになったんですよ。もう夕方7時近くで真っ暗で…助かりました」
 ご主人はそんなことがあったか、と言った。
「いろんな人が来るからね、この間は夜の10時に来た人がいたよ。捜索願が出ていた人だった」
 山小屋は、旅館に比べると質素だが、命からがら山から下りて来た者にとっては地獄に仏というものだ。ましてやここは風呂もあるし、部屋はいわゆる山小屋としては旅館に近い。タオルや歯磨きセットももらえる。極楽極楽。

 昼間は観光客でにぎわう黒部ダムだが、早朝は誰もいない。

 朝の黒四ダム 紅葉
 誰もいない海~…じゃなくて

朝の黒四ダム
 朝6時半なのにもう働いている人がいた

 ガイドブックに従って下の廊下の登り口を探すが、「案内に従って進む」よう書いてあるだけだ。 ロッジくろよんからは黒部ダム駅に進んで行く。前の方に夫婦なのか男女の姿が見えて来た。

トンネルを歩く人影

 すぐに追いついた。彼らは、40代後半くらいか。
「一緒に行きましょう」
 と言ってくれたので、この気のいい大阪人夫婦と同行させていただく。
 
 黒部ダム駅を通り過ぎると男女兼用のトイレがあるので、そこで最後のトイレを済ませていく。そのトイレの前を通れば出口で、すぐ前にくねくねした下り道があるのでそこを行けばいい。そして小さな橋を渡ってこれから長い山道を歩くことになる。

下の廊下に続く道

 何年前になるだろう、一度この道は来たことがある。その頃はそんなに大変と思わなかったが、それは若かったからだろうか?それとも悪いことは忘れてしまうという人間の本能なのか…
 とにかくこんなだったけ?というくらい大変だった。

ここは難所だった
 こんなん登った~!!

 同行のご夫婦の、ご主人が先頭になり、次に奥さん、そしてくうみんの順番だ。くうみんはどこかに獲物(キノコなど)がないかきょろきょろしていたので、少し遅れた。前の方に大きな一枚岩が見えた。そこを歩いて行こうとしたら、つるっと滑ってしたたかに尾てい骨を打ってしまった。
「痛い!」
 しばらく動けなかったが、気を取り直して前に進んで行った。

 ここはほとんど道がなかった
 ほとんど足場のない、道とは言いたくない道

ここは滝じゃなくて道です
 ここは滝ではなく道です。くうみんは傘をさして行ったが、あとで聞くと大阪夫妻は強行突破したらしい

きれいな紅葉
 紅葉は素晴らしかった!

 痛い。特に上り坂では、尾てい骨近辺がうずくように痛い。下りも痛い。そんなこんなでしばらくは大阪夫婦に迷惑を掛けながらも一緒に歩いて行ったが、道を間違えたことも手伝って、あと3分の一と言うところで一人で歩く羽目になった。

こっちがルートと思ったら…
 くうみんが歩行ルートと間違えた場所。こっちに行くと十字峡の展望台に行けるという印だった。この期に及んでこんなところ、行くか!!

赤井印は歩行ルート
 こっちが正しいルート

 でも、なんでこんなに歩けない?10キロマラソン一億歳以上の部で優勝したこのくうみんが…


仙人ダム
 仙人ダムが見えて来た

ダムの放水を近くで見ると
 仙人ダムの放水

ここを入るんですかい
 ここが登山道の一部とは…関西電力さんありがとう

順路はこちら
 親切だなあ、関西電力

熊が入るので閂は必ずかけてね
 熊が入るので必ず閂をかけるようにと。もし熊が入ってきたら、ここの社員の皆さん、驚くだろうなあ

吊り橋の足元
 おじさんはつり橋が苦手だったなあ。今は大丈夫だろう

 今日の目的地、阿曽原温泉小屋(あぞばらおんせんごや)に着いたのは4時10分くらいだった。ロッジくろよんを出てから10時間。ああ、もう年なのか。しかし、心配していたおトイレは楽勝だった。よかった、お尻出す羽目にならなくて。その姿のまま谷底に落ちたら恥ずかしいなあ。

 ここの主は、山岳警備隊勤務だったのを20年ほど前にこの山小屋を継いだと聞いた。奥さん大変だったろうなあ。
「予約していますくうみんです」
「あ、くうみんさんね、女子のお風呂は4時から5時までだから受け付けはその後でいいからお風呂入ってきて」

 お言葉に甘えてすぐに風呂へ行く。ここの風呂は露天風呂でなかなか眺めがいい。しかしそこまで行くのに5分ほど山を下らなければならず、休めると思ったのに、おいおい、またかよ…と言う気がした。

風呂に続く道
 これが風呂に続く道

 でも、ここの露天風呂は最高だ。女湯は特に見えないようにしてあるところが多いけど、ここは目隠しなんか必要ないんだよ。

 風呂に到着すると、同行していた大阪夫婦の奥さんがいた。
「十字峡の所で待っていたんだけどね、来ないから先に来ちゃったのよ」
「うん、こちらこそ迷惑をかけて。少し道に迷ったの」
 くうみんは尾てい骨を痛めた上に、十字峡の所で行かなくてもいい十字峡見物台に、ルートと間違えて行ってしまった。

 キャピキャピの若い女子も風呂に入りに来たが、こいつら掛け湯もせずに入りやがった!思わず睨みつけたがカエルの顔にナントカ。石鹸があったので、全身を洗った。普通髪を石鹸で洗うと石鹸かすが髪に着くが、普段から石鹸で洗っているため、くうみんにはそんなこともない。体が慣れるらしい。

 男子の風呂は5時からだが、5時少したってから大雨が降り出した。体はどうせ濡れているのでどうでもいいが、着るものがびしょぬれになる。気の毒に…おじさんは関係なくてよかった。

 今日の夕食はカレーライスとコロッケ、そして付け合わせのスパゲティ。おかわりは自由。30代の頃のくうみんは、山ではどんぶり飯を5杯食べた記録がある。だからその頃のくうみんだったらこのカレーも3杯くらいは平らげたかも知れない。しかし、今は大人ですから…カレールーだけおかわりした。

 最近、観光地では日本人よりは外国人の方を多く見かける。今年の3月、めろんさんと行った高野山でも、ロシア人ばかりが目についた。
 しかしここにはさすがに外国人は来ないだろう…と思っていたら、一人いた。香港から来た、20代から30代と思われる男性だ。少しだけ中国語の話せる女性が、通訳してくれた。でも、香港なら英語も通じたのかな?

 山小屋の夜は早い。部屋に戻ると、もう布団の中にもぐりこんでいる人もいた。くうみんも寝床に着いた。6時半。途中で目が覚めた。8時くらいか。この時間になって到着した人がいる。
「布団をそこから取って…敷くところはここでいいかしらね」
 夫婦と思われる男女のひそめた声が聞こえる。大雨が降っている音が聞こえた。この雨で、真っ暗な中を歩き続けるのは大変だっただろう。
 この小屋にたどり着いた時は思わず安堵のため息をついただろう。豪華でなくても、布団一枚のスペースでも、山小屋はありがたいものだ。

 明日は5時間くらいの行程だから、楽勝だ。トイレもそんなに気にすることもないだろう。そんなことを考えながら、くうみんはまた深い眠りに落ちて行った。

 しかし、翌日もくうみんは、尾てい骨の痛みと、あることに悩むことになるとは、この時は夢にも思っていなかった。
 


 


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 年齢一億歳。
 
 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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