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山の思い出  遠い日に…

 その昔、おじさんの友達のkさんと、おじさん、くうみんでニュージーランドに行ったことがあった。航空券は仕事で海外に行く機会の多いkさんのマイレージを使って手配してもらった。しかもビジネスクラス。しかもタダ。持つべきはこういう友だ。

 kさんは仕事の忙しい人だったので、途中で帰国。後におじさんとくうみんが残された。それまでは、kさんには車を運転してもらったり、通訳をしてもらったりしてこっちは楽だったが、いきなり大変になってしまった。

 しかし、まあ観光では金さえ出せば文句は言われない。不自由ながらも二人でホテルを手配したり、スーパーで買い物をしたり、観光をしたり。

 ニュージーランドは自然がきれいと聞いた。どちらが言い出したかは忘れたが、トンガリロ国立公園に行くことになった。

 ロトルアと言う温泉の出る町からバスでトンガリロ国立公園に行く途中には富士山のような山がたくさんあった。
「わ~い、富士山だ!」
と言うと、近くにいた若い女性がにこっと笑った。「富士山」がわかったのかな?

 現地に着くとホテルは数件しかない。そのうちの一軒に行って3泊したいのだが、と言うと部屋に案内してくれた。あまりいい部屋ではなかったがかなり混んでいたので仕方ない。 

 しかしありがたいことに共同キッチンがあった。当時おじさんは海外の食事が苦手だったので自炊することが多かった。ここでは小さな売店でわずかばかりの食料を売っていた。持って行ったカレールーと、現地調達したベーコン、ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモでカレーを作り、旅行用電熱器でご飯を炊いた…と日記には書いてあった。

 余談だが、その後バンコクで世界中で使えるナショナル(当時)炊飯器を見つけ、これを毎回持参してご飯を炊くという離れ業をやってのけた。
 もう、ご飯を炊いてくれと言う人もいなくなったが…

 ホテルの周りは自然がいっぱいで、とてもきれいだった。そこらじゅうを歩き回って退屈なんかしなかった。
 ホテルからはまさしく富士山そっくりの山が見えた。ナウルホエ山と言う。あの山にも登ってみよう。カレーを食べた翌日に、二人で行くことにした。

 山道はなだらかで歩きやすく、高尾山を登るより楽だった。

 しかし、ここで問題が起きた。

 トイレに行きたい…

 しかし、そんなものはない。
「おじさん、おトイレに行きたい」
「しょうがないな、待ってるから早くしろ」

 山で用を足す。女子の場合、これを「お花摘み」と言う。ちなみに使用した紙は持ち帰る。ビニール袋は必携だ。

 さっぱりしたくうみんはウエットティッシュで手を拭いて、ナウルホエ山の頂上を目指した。富士山に似ているけれど、上に行くにしたがってなんだかマヌケな山だと思うようになった。富士山と似て非なるもの。富士山はすそ野が広く伸びて、十二単を着た女性のようだが、このナウルホエ山はバケツをひっくり返したような感じだ。
 やっぱり富士山は別格なのだ。

 お昼のサンドイッチを食べるときに腰にあるべきものがないのに気づいた。貴重品の入ったウエストポーチがない!
「おじさん、大変だ!ウエストポーチがない」
「えっ」

 そう言えばあの時…

 くうみんが用を足すとき、ウエストポーチが邪魔になって取ったんだっけ…そのあとウエストポーチを付けた記憶は、なかった。あの時だ!!

 ウエストポーチには日本円、ニュージーランドドル、クレジットカード、パスポート、航空券、要するに貴重品一切合切が入っていた。
「どうしよう」
 どうするもこうするもない。でも、実感がわかないのかあまり慌てもしなかった。
「アハハ、お前、困っている顔しろ。写真撮ってやる」
 おじさんは使い捨てカメラで困った顔のくうみんを撮った。

 帰り道はウエストポーチを探しながら進んだ。山を下り切ったので、また登って探した。

 しかし、見つからない!どこにもない! 

 だんだんとただ事でない実感がわいてきて、顔が引きつってきた。頭の中に、ホテル代が払えなくて皿洗いをしているくうみんの姿が浮かんだ。おじさんは不器用な上に力もないから、掃除でもするんだろうか。
 パスポートもないし、お金もない。どうしたらいいんだろう?

 その時、くうみんの頭の中にピカッと豆電球が光った。

 以前、山の言い伝えで、山の中で落とし物をしたら男が用を足すと出てくると聞いたことがあった。実際はモノを出しさえすればいいのだが、この時はオ○ッコも出さないといけないと思っていた。
 くうみんはおじさんにこのことを話した。
「お願い、やってみて」
「えっ、ここで?!人が来たらどうするんだよ!」
「だって、貴重品が見つからないじゃない」

 貴重品の前には、おじさんが変態と思われようと、礼儀知らずと思われようと、どうでもいいことではないか。それに、今なら誰もいない。

「仕方ない」

 おじさんは、そこでチ○コを出すと、用を足した。山で男が用を足すことを雉を打つと言う。

 それから貴重品捜索を再開した。もうすでに、日が暮れかけていた。

 そして!

 貴重品はすぐに見つかったのである!

 道のやや奥まったところに、ウエストポーチがひっそりと置いてあった。
「あれ、ここさっきも探したところだよ」
 見落としたということなんだろうけど、あれほど必死に探して見落とすなんてあるか?下って登って、2回も見たところを、見落とすなんてあるか?

 しかし良かった。出てこなかったら、どうすればいいんだろう。ホテルの人に事情を話して、日本に連絡して送金してもらって、パスポート紛失の手続きのために日本大使館に行って…ああ、頭がくらくらする…

 この騒動は、くうみんのお花摘み(用足し)に始まり、おじさんの雉打ち(用足し)で締めくくられたのであった。




 最近湿っぽい内容ばかりだったのはこの記事を書くためだったのさ。

 うぇ~ん、くうみんさん、かわいそう。泣かないで~…と思わせておいて…

 この記事の題名も釣りさっ!

 あ~~~っはっはっは!



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