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やっと納骨 おじさんの帰った所 そしてくうみんの帰る所

 おじさんの納骨は、本当は8月にしなくてはならない事であった。しかし8月は暑い。
「もっと涼しくなってからがいいんじゃない?」
 お姉さん達も言うので、9月某日に行う予定でいた。もちろん無宗教で。そして親戚に集合をかけたのだが、
「待った~~~!」
 と言う声がした。

「神父様のお祈りなしで納骨なんてとんでもない!」
 おじさんのいとこのミカエルだ。
 プロテスタントの牧師様はたくさんいらっしゃるが、神父様と言うのは日本には少ない。だからいつも忙しい。来てくださる神父様を探すのは至難の業だ。
「僕が神父様を探すから、待っていてくれ」

 と、ミカエルが言う。という話を、お姉さんから聞いた。
「そうですか、それじゃ、待ちましょう」

 そのうちミカエルのお父さん、ヨゼフ・ミカエルが亡くなった。ミカエルは神父様を探すどころの騒ぎではなくなり、「おじさんの納骨に来てくださる神父様探し」は、中断せざるを得なかった。

「いったいいつになるんだろう?」
 納骨や49日は早い分にはいいが、遅いのは後回しにしていることなので良くないと聞いた。しかし、ミカエルも善意でやってくれているので文句も言えない。
 気長に待つこと数週間、ようやく10月12日、納骨と決まった。ミカエルの父、ヨゼフ・ミカエルの遺骨もついでと言ってはなんだが、同じ日にこちらの墓に分骨したいと言う。まあいいか、いっぺんに済めば面倒なくていいし、これ以上延ばすのもなんだかな。

「ミサもやるから」
 と、ミカエルが言ったそうだ。
「まさか嫌だとかいうんじゃないよね?」
「いえ、そんなことは」
 と、お姉さんは答えたそうだ。喪主は私、主役はおじさんのはずだが、知らない所で話は進んで行った。宗教のことは門外漢なので仕方ない。 

 当日は、重い遺骨を抱えてくうみん母と電車に乗ると、若い人が席を譲ってくれた。
「ありがとうございます」
 と言って有難く座らせていただく。
 墓最寄りの駅に着くと、2番目のお姉さん一家がホームにいた。それぞれタクシーで墓地に向かった。

 ミサは11時から予定通り執り行われ、「あめなる喜び」「主よみもとに近づかん」など知っている讃美歌は歌った。くうみんは高校がプロテスタントなので若干の讃美歌は歌える。でも、カトリックとは歌の傾向が違うようで、知らない歌ばかりだった。

祭壇1

 厳粛な式次第が終わると、納骨となった。いい天気で良かった。おじさんの骨壺におじさんの名前を書いた。
「こうすればくうみんさんが中に入るとき、間違いなく隣同士になれるから」
 ミカエル、あったまいいな~。そうか、それじゃ、くうみんが入ったらおじさんと隣同士にしてもらって、ひもで縛るかボンドではっ付けてくれ。

 順番で言うと、墓碑には先に亡くなったおじさんのお父さんの隣におじさんの名前が入るのだが、それではお父さん、おじさん、お母さん、くうみんになってしまう。
「それよりおじさんとくうみんさんは隣同士になった方がいいでしょ」
 と、お姉さんが言ってくれたのでお父さんの隣はお母さん用にワンスペース空けて、その次におじさんの名前を彫ってもらった。

 おじさんのおばあちゃんは本当は「エリザベット・マリア」と言う洗礼名なのだが、お父さんが間違えて「エリザベット」だけしか彫らなかった。
「しまった、間違えちゃったよ」
「しようがないな、兄さん」
 と、親戚中から笑われたが、おじさんもなんとお父さんの洗礼名を間違って彫っていた。「ペテロ」となっていたが、本当は「ペテロ・ヨゼフ」だった。
 親子して同じ間違いを…でも、おじさんは確か親戚の某から「お父さんの洗礼名はペテロ」と教えられたと言っていた。だから仕方ないか。

 次にお母さんが亡くなった時にでも、石屋さんにまとめて修正してもらおう。

 遺骨を中に納めると、おじさんとお別れ…だが、ちゃんと小さな遺骨は取ってある。
 
 その後は食事会。
お食事会
おじさんとヨゼフ・ミカエルにも影膳を。おじさんはビール、ヨゼフ・ミカエルはコーラがお好きだったそうだ

神父様にも参加していただく。神父様が一番の上座で、喪主であるくうみんはその次に座った。神父様と言うのは偉いのでお付きの人がいるはずなのだが、この神父様にはいないと言う。
「もうそういう時代ではないのですよ。食事も洗濯も私は自分でしますよ」
 立派なひげを蓄えた神父様は言った。

髭の立派な神父様

 最近は神学生も少なくなってしまったそうだ。おじさんいとこのMちゃんが、席を替わってきて神父様にいろいろ質問をした。
「神父様は孤独を感じないものですか?」
 彼もはや40を過ぎた。しかしまだ結婚していない。
「いや、もちろん感じますよ」
 神父様も一人の人間だ。
「神学生や、若い神父の中には好きな女性ができて、神職を捨てることも少なくありません」

 人が成長して恋をして、結婚というのは当然のことだ。しかし、神に仕える身となっては、手放しで祝福と言う訳にも行かないだろう。神父様が少ないのは、こんな事情もあってのことだと思う。我が心石に非ず。

 くうみんは隣の神父様に話しかけた。
「ある仏教の師は、亡くなったおじさんは本来いるべきところに帰ったのだと言いました。カトリックでもそうなのですね」
 ある仏教の師と言うのはもちろん、ドジ霊能師照玉師だ。ミサの時、同じように神父様は「おじさんは天に帰った」と、いっていた。
「そうです。カトリックでも同じです。帰天、と言います」

 おじさんは天に帰ったのか。どこかに行ったのではなく、天に、本来いるべきところに帰ったのか。私はいつ、おじさんのいるところに「帰る」ことができるのか。そもそもくうみんの帰るところはおじさんと同じところなのか。

 自分で死ぬほどの度胸はない。ただ、この世で自分の仕事が終われば、私も天に帰って行くのだろう。

 
 


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 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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