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おじさん、どこへ行ったんだぁ~?くうみんは専業主婦じゃなくなったよ。

 おじさんは待望の友達との温泉一泊旅行を目の前にしてとっても嬉しそうだった。遠足を楽しみにしている小学生みたいにしていた。

 真夜中に、突然の電話に起こされた。おじさんが大変なことになった、死ぬかも知れないと、切羽詰まった声で知らせてきた。

 まさか、まさかね。だって昼の11時くらいに出て行ったときは、
「明日の昼は海鮮丼を食べるから夕飯はご飯じゃないのね」
って、元気に出て行ったじゃない。だから私は、うどんやソバは家にあるからいい、パスタ類がないから買って置かなきゃと、スーパーでマカロニとスパゲティを買ったんだもの。これで明日は目に着いた材料でどれを食べるか決めればいい。そんなことを考えていたのに。

 病院に着いたとき、おじさんは固いベッドに横たわって、微笑んでいるような安らかな顔をして目を閉じていた。体幹はまだ温かいけれど、指先を触ると、冷たくなっていた。もう死んでいるんだ。あっちへ行ってはいけないと言ったけど、遅かった。

 おじさんの残した巾着袋の中に、昼に買ったお弁当のレシートがあった。時刻まで印字されていて、きっとこの時は楽しい温泉旅行を前に、ニコニコしていたんだろう。そう思うと泣けてきた。この巾着袋を見るのはいまだに悲しい。だけど捨てることもできない。引き出しの中にそっとしまってある。いつかは優しい笑顔で見ることができるだろうか。

 こんなことって、自分とは違う世界のことだと思っていた。おじさんがこんなに早く死ぬなんて。私がこんな不幸のどん底に落とされるなんて。

 もっとこの幸せが続くと思っていた。こんなに早くおじさんが逝ってしまうなんて、思っていなかった。だって、私はガンだから。取り切れなくて再手術を勧められた。「再手術をしなければ、俺は主治医を降りる!」とまで言われたけど、断った。だから私はガンと共に生きている。
「最後まで楽しければいいよね」
「そうだね、おじさん、楽しいねえ」

 二人で旅行に行ったりおいしいものを食べに行ったり。

 最後まで楽しければいい。おじさんは確かにそうだろうけど。おじさん、早過ぎるよ。私が死ぬのは覚悟できていたけれど、おじさんが死ぬのは覚悟できていなかった。

 先に逝くのは私だと思っていた。




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 年齢一億歳。
 
 病んだ乳を抱えて今を生きる。また走り始めた。涙を流しながら。

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